BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『日本は「パッケージ型事業」でアジア市場で勝利する』

2016/02/25 15:27

週刊BCN 2016年02月22日vol.1617掲載

最強のMade in Japanへ

 欧米と比較して、「だから日本はだめなんだ」というのは、評論家やジャーナリスト的な人の常套句。その指摘が正しいことも多いとはいえ、目新しいものは少なく、どこかで聞いたような内容に終始しがちである。目を引くための“ツリ”タイトルの書籍は、だいたいそんな内容に終始。言いたいことは一つだけだったりする。本書では日本が勝てなくなった理由を「技術と製品にこだわりすぎるあまり、自前主義になり、機会ロスを生じさせている」と指摘。これもよく聞くフレーズだ。

 ただ、そこはどうでもよく、本書は日本企業がアジアで勝利するための指南書である。キーワードはタイトルにある「パッケージ型事業」。製品、保守・運用サービス、人材の育成などを組み合わせ、顧客に対する提供価値を実現するビジネスを意味するという。成功事例は、複写機メーカー。製品の製造から、メンテナンス、消耗品の供給などの運用サービスまでを一気通貫で提供している。

 とはいえ、複写機メーカーになれという話ではない。重要なのは、複写機メーカーのようなビジネスモデルをいかに確立するかである。例えば、GEの取り組み。GEはIoTを活用した“インダストリアル・インターネット”を提唱し、自社製品から収集したデータを活用したサービスの提供や製品開発などに生かしている。IoTの最先端事例だ。IT業界向けの内容ではないため、そこはあっさり書いてあるが、日本の産業を支えているのはITだと、改めて確認することができる。(亭)


『日本は「パッケージ型事業」でアジア市場で勝利する』
青嶋 稔 著
東洋経済 刊(1800円+税)
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