IT業界人に向けた教養読本

 ITの分野は、技術の進歩が速いことから「ドッグイヤー」と呼ばれた。犬は1年で人間の7年分に相当するスピードで成長することから、ITの進歩のスピードを表すために用いられた。最近では、あまり聞かなくなったドッグイヤーだが、ITの進歩はいまだに加速している。ITにかかわる人、とりわけエンジニアは、時代に取り残されないようにするためにも、技術のキャッチアップに注力しなければならない。趣味の分野は別として、専門外の教養を身に着ける余裕はないというのが、現実ではなかろうか。

 そのような状況を考慮したと思われるのが、「大人の教養読本」という副題がついた本書である。収録されているのは、JBCCホールディングスが発行している情報誌「Link」の特集記事。JBCCホールディングスの情報誌だけに、ITにかかわる人が主な読者ターゲットとなるが、ITの情報を紹介するだけでなく、“大人の教養”を掲載することで、手に取って読んでもらうのが狙いだろう。

 掲載のテーマは、リベラルアーツ/人工知能/ダイバーシティ/組織論/認知科学/バイオミミクリー/心理学/再生医療/コーポレートガバナンス/住環境/ジェロントロジーの11分野。専門的なテーマだが、各分野の第一人者が執筆しているため、視点がおもしろい。例えば放送大学の大渕憲一教授による「釈明の心理学」の章では、信頼を築く謝り方を紹介。自分に非がなくても取引先とトラブルになった場合の釈明方法など、ビジネスで活用できる大人の教養が詰まっている。(亭)

『知恵のわ vol.2』
JBCCホールディングス Link編集部 著
日経BPコンサルティング 刊(1500円+税)