クラウド万歳ではない良心的な解説

 まずはクラウドを第一に検討する「クラウドファースト」というワードが普及したことで、クラウドの導入を検討する企業が増えた。ところが、多くの企業がクラウドを提供しているため、違いがわからないという声をユーザー企業はもちろん、SIerから聞くことがある。なかには、IaaSとPaaS、SaaSの違い、パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いなどを間違って把握しているというケースもある。これだけクラウドが普及してしまうと、いまさら聞けないキーワードになってくる。

 そこで、本書である。一つのテーマを見開きの2ページにまとめていて、左ページに解説、右ページに図版という構成になっている。内容は、クラウドとは何かに始まり、サービスの概要、活用されている技術、導入に向けての知識などを紹介している。このような解説本ではクラウドの推奨に終始しがちだが、オンプレミス環境との使い分けについても紹介されているため、ある意味“良心的”な解説本といえる。

 主なクラウドサービス事業者が紹介されているのもありがたい。同じIaaS領域でも、クラウドサービス事業者によってサービス内容が大きく異なる。得意分野も違うため、クラウドサービスの検討に役立つだろう。

 また、地方ではクラウド化が遅れているとされがちだが、近年のIoTブームで風向きが変わりつつある。工場でIoTの活用が注目されているからだ。「IoTにはクラウド」の理由は、本書を参照していただきたい。(亭)

『この一冊で全部わかるクラウドの基本』
林 雅之 著
SBクリエイティブ 刊(1680円+税)