BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『量子アニーリングの基礎』

2018/08/29 09:00

週刊BCN 2018年08月20日vol.1739掲載



理系向け量子コンピューター解説書

 アニーリングマシン(量子コンピューターの一種)を活用するには、解きたい問題を数式で表現する必要がある。逆をいえば、数式化するノウハウがあれば、アニーリングマシンを活用するためのハードルは高くない。社内に数学や物理に明るい社員がいるのなら、アニーリングマシンを担当させてみよう。本書は、そのための教科書として活用できる。

 基礎解説本の位置づけだが、本書を開くと数式がズラリと並ぶ。それも簡単ではなく、大学レベルの物理や数学の知識がなければ、まったく読み進められない。覚悟が必要だ。ただし、読み進められれば、アニーリングマシンの理解が一気に深まることになる。

 解説で使われているアニーリングマシンは、世界で最初に商品化を成し遂げたカナダのD-Wave Systems製。メーカーによって活用法に多少の違いはあるものの、重要なのは解くべき問題を数式化すること。本書で学んだ知識は、他のアニーリングマシンでも活用できる。(亭)
 

『量子アニーリングの基礎』
西森秀稔、大関真之 著
共立出版 刊(2000円+税)
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