短い言葉に深い意味を込める古語はとても美しいですね。例えば「いとをかし」と使われる「をかし」という言葉ですが、「おかしい」「風情がある」「美しい」など、さまざまな意味があります。前後の文言からどの意味で使われているのか、読み手が考え、当てはめていくわけです。
こうした古語選びのセンスが冴えているのが、和歌ではないでしょうか。五・七・五・七・七と、Twitterよりも短い31文字のなかに、季節の美しさ、恋の喜びや哀しみ、人生の儚さなど、さまざまな感情を織り込んでいます。
レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は、日本の大学で古典文学を学び、古語の美しさのファンになったとのこと。特に古今和歌集が大好きだそうです。夏から秋へ、季節の変わり目の今はこんな歌を詠んでいるかもしれません。
秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる(藤原敏行)
この風は、金木犀の香りを含んでいそうですね。(山下彰子)