2015年4月にNECパーソナルコンピュータ(NECPC)とレノボ・ジャパンの社長に就任し、両社の成長に大きく貢献した留目真伸氏が今年5月に退任。デビット・ベネット氏が後任を務めることになった。ベネット新社長は日本のPC市場でどのような役割を果たそうとしているのか。NECPC、レノボ・ジャパンの戦略を聞いた。
日本のニーズに応えるNECPC 世界トレンドを提供するレノボ
――ベネット社長の担当分野についてお聞きします。2017年にレノボグループ傘下となった富士通クライアントコンピューティング(FCCL)については、担当をおもちですか。
国内で私が担当するのはレノボ・ジャパン、NECPCの2社です。FCCLでは何も担当していません。また、レノボ・ジャパン、NECPCの社長を務めますが、オペレーションは独立しています。レノボ・ジャパン、NECPC、FCCLは、互いに競合相手とみています。競争のなかで、どう差別化していくのか、ユーザーニーズをいかに満たしていくかを考えながら切磋琢磨して友好的な競争をしていきます。こうすることで、ユーザーに多くの選択肢を提供できると考えています。
レノボグループはPC市場のマーケットリーダーとして市場を活性化させる責任があります。3社で友好的な競争をしながら、一緒に市場を成長させていきたいと考えています。
――レノボ、NECPCのすみ分けはどのようにお考えですか。
レノボとNECPCはブランドのカラーが異なると思います。例えば、レノボブランドは海外製のブランドなので、世界で展開している規模があります。レノボブランドの新しい製品を日本市場に提供するということは、世界の製品を日本で提供することになります。
一方、NECPCは、日本で30年の歴史がある非常に重要なブランドです。日本のユーザー向けに開発し、日本人の使い方にあった機能を搭載しています。また、ユーザーが要求する高い品質を備えています。製品の品質だけでなく、PCに関する無料相談を受け付ける、納品や修理対応スピードが速いといった点も日本のユーザーにとって重要なポイントであると考えています。この高品質を実現しているのが米沢や群馬の国内拠点です。日本発の品質、サービスを
提供し、ユーザーニーズを今後も満たしていきます。
ニッチな市場が伸びる新市場創出も課題
――PC市場は成熟し、今後はほぼフラットで推移していくのではないでしょうか。時には減少することもありえます。このPC市場にオポチュニティがあるとお考えですか。
確かに、日本市場も世界市場も、販売台数としては下降傾向にあります。しかし、もう少し細かくみるとどうでしょうか。安価なモデルは販売台数が下がっていますが、利益水準の高いプレミアムなモデルはきちんとオポチュニティがあり、今後も伸びる余地があります。さらに薄型モデル、軽量モデル、ゲーミングモデルなども同様です。ニッチとみえる市場でまだまだ成長する余地があります。そのため、ここにフォーカスしていきます。
また、先ほど申し上げました通り、レノボはマーケットリーダーとしてマーケットを創出する新製品を開発する責任があります。マーケットを成長させることを念頭に置いた製品、ソリューションを作っていき、買いたいと思ってもらえるものを提示していく。こうした取り組みにより、PC市場の縮小を覆すことができると考えています。
――日本のPC市場は、Windows 7のサポート終了や働き方改革により、直近は堅調に推移すると予想されています。ですがその先はどうなるのでしょうか。中長期でみたとき、ビジネスは安定的に推移するのでしょうか。
Windows 7のサポート終了により見込めるのは短期的な成長ですが、働き方改革は短期だけではなく、長期的に期待できます。人々の働き方は実際に変わってきました。働き方が変わるとそれに合わせてPCに対して新しいニーズが出てきます。そして、それを満たすPCが求められる。例えば、サービスの在り様が変わればサービスを利用するデバイスのニーズも変わってきます。それを満たし続けることで、今後もこの流れは続いていくでしょう。
また教育の面では、学校がプログラミング教育やデジタル教科書を導入する動きがあります。これもPCメーカーにとってチャンスになります。ここで生まれたチャンス、ニーズに応じた製品を開発していかなければいけません。こうしたチャンスは中期的に存在し続けると思います。
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