事務所の引っ越しを行ったばかりのある企業を訪問したところ、移転前に比べるとずいぶん地味なオフィスになっていて衝撃を受けました。以前のオフィスは、ウェブサービスの開発会社らしくとても華やかで凝った内装だったのですが、新たな拠点は古びた貸会議室のようなたたずまいで、ただただ殺風景。ひょっとして、オフィスの移転は急激な業績悪化のためだったのでは……。

 という想像が顔に出ていたのか、私が何か言うより先に、先方の担当者はニヤリとしながら「ここ、狭くて地味でしょう」。聞くと、働き方改革で思い切ってリモートワークを基本とし、事務所の規模は最小限まで縮小。浮いたコストはリモートワーク支援手当に回したとのこと(用途は報告不要なので実質の賃上げ)。担当者も会社へ来るのは2週間ぶりでした。数カ月後に聞いてみると、経費削減と生産性・従業員満足度の向上に加え、人材採用の柔軟性も増したということで、仕組みづくりと意識改革の段階を乗り越えた後はいいことづくめだと話していました。

 先日、デルと経営統合したEMCジャパンの大塚俊彦社長に「両社のオフィスの統合はしないんですか」と聞いたときも、同じようなコメントがありました。同社自身「ワークフォーストランスフォーメーション」の提案を行っているだけあって、物理的なオフィスの形に関係なく、ワンカンパニーとして動ける環境を整えているといいます。サーバーなどのITインフラに加えて、今後はオフィス自体も仮想化が進んでいくのかもしれません。(日高彰)