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基礎教養としてのデータセンター

 20年あまりデータセンター(DC)の構築に携わってきた著者が、DCの役割や技術トレンド、市場概況を網羅的に説く解説書。初学者向けのテキストを意味する「読本」を銘打つだけあって、DC業務の実務者には平易すぎる内容と思われる。例えば、「米国基準の“Tier”と国内独自の“ティア”の違いは」「DCの床面積当たりの耐荷重は一般オフィスビルの何倍以上か」「空冷・水冷それぞれの長所と短所は」などと問われたとき、すらすらと答えられる人は多くないのではないか。DCで仕事をしたことがなくても、本書に目を通せば業界人としての基礎教養を身につけられる。

 また、発電所やガスタンクなどの巨大建造物を見れば、誰もがそれを社会インフラとして認識するが、多くの人々にとって、DCは何のために建ったのか分からない施設であるどころか、セキュリティーの要請上、DCはその存在自体が社会から隠蔽されている。自らが「社会インフラ」で働いていることを世に伝えたいDCエンジニアにとっても、非専門家に向けたガイドの登場は僥倖である。(螺)
 


『AI時代のビジネスを支える「データセンター」読本』
杉浦日出夫 著
幻冬舎メディアコンサルティング 刊(800円+税)