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人は騙されるようにできている

 「サイバー攻撃の手法が年々高度化・複雑化している」と言われることが多い。しかし、現在でも侵入の最初のきっかけとなっているのは、業務文書に見せかけた添付ファイルや、緊急の連絡と称するリンクを開かせるといった、古典的な手口が中心だ。「人」が弱点になっているという点は、今も昔も変わらない。

 なぜ、人はありふれた騙しのテクニックに引っかかってしまうのか。この問いに対し、社会心理学者である著者は「人間の行動は想像以上に自動化されている」と答える。少々おかしな話であっても、つじつまが合うように解釈してしまい、まさか自分が騙しのターゲットとなっているとは考えない。それは、人間が円滑な社会生活を営むための機能のようなものであり、ある意味では騙されるのが正常とも言える。人間とはそのようにできている生き物だと自覚することが最大の防御策であり、「これだけ用心しているから大丈夫」との思いが少しでも心の中にあれば、それこそが“脆弱性”になり得る。(螺)
 


『なぜ人は騙されるのか 詭弁から詐欺までの心理学』
岡本真一郎 著
中央公論新社 刊(820円+税)