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「面白いことをしたい」とつぶやく前に

 

 「何か面白いこと、やりたいですね」。思わずこう言ってしまったり、同じようなフレーズを耳にしたりすることがある。目の前の仕事や生活が「面白い」とは感じられないとき、自分が生き生きと能力を発揮できるような面白い対象を、誰かが持ってきてくれることを期待しているのだろう。しかし、「面白いことって何?」と問われたら、説明できるだろうか。

 本書は、「面白い」の意味について、工学博士でもある人気ミステリー小説家の著者が、考えを巡らせたものである。結論から言ってしまうと、これが面白さだ、という明解な答えは書かれていない。というよりも、面白さの作り方を具体的に記述できたとしたら、その瞬間にそのノウハウは面白くないものになってしまう。ただ、面白さを作り出せる人は、自分と自分以外の人が何を面白いと感じるのか、なぜそれが面白いのかを、真剣に考え続けていると著者は指摘する。面白いことをしたいならば、「面白いって何?」を自問し続けなければならないようだ。(螺)


『面白いとは何か? 面白く生きるには?』
森博嗣 著
ワニブックス 刊(830円+税)