▼大成功のうちに終わったラグビーW杯。次回開催地フランスへの引き継ぎセレモニーで登壇したのは日本大会組織委員会会長で経団連会長も務めたキヤノンの御手洗冨士夫会長CEOだった。残念ながら、国際大会を締めくくるスピーチとしては違和感が残った。

▼大会の盛り上がりを「台風のように」と表現してしまったのはどう考えても適切ではないし、優勝した南アフリカに言及しなかったのも信じ難い。一方で日本大会の招致で森元首相の尽力があったことは丁寧に説明していて、内輪ネタに終始した感は否めない。

▼外部からはうかがい知れない事情があるのかもしれないが、つい最近まで日本の経済界の顔であった人物が、あそこまで“内向き”の価値観を世界に向けて発信してしまった衝撃は大きい。通訳担当者はうまく内容を省略していたのが、せめてもの救いか。

▼ダイバーシティや団結が組織の大きな力になること、互いへのリスペクトが健全な競争関係をつくることなど、ラグビーの枠を越えて多くの人に示唆を与えた大会だったと言えよう。日本人の情熱に火を付け、この国を急速に変革していく起点になったイベントとして将来記憶されるようにと願う。(霹)