BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『その仕事、全部やめてみよう 1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」』

2020/08/28 09:00

週刊BCN 2020年08月24日vol.1838掲載

「DataSpider」開発者が説くビジネスの本質論

 帯には「プログラマー×起業家×CTOが語る『超』効率的な仕事の進め方・考え方」とあるが、いわゆる“仕事術”の指南書ではない。本書で説いているのは、ビジネスの本質論である。経営層やマネジメント層こそ読むべき内容と言える。

 著者の小野和俊氏をご存じの読者も多いだろう。サン・マイクロシステムズを経てアプレッソを立ち上げ、データ連携ソフト「DataSpider」の開発を主導。アプレッソがセゾン情報システムズの子会社になった後はセゾン情報システムズのCTO、19年にはその親会社であるクレディセゾンのCTOに就任した。外資系大手ITベンダーからITベンチャー企業の代表に転身し、SIer、老舗金融企業と、変化に富んだキャリアを歩んでいる。

 そうした経験から、ベンチャー、大企業を問わず、どんな企業にも共通する「無駄」があることが見えてきたという。この無駄を排除することこそ、ビジネス・仕事を合理化し、その本質に迫るポイントであると説く。

 自身の具体的な失敗体験も紹介しながら例示される無駄の数々にはいちいち頷かされるが、後書きで記されている、「一番やめるべき仕事は、没頭できない仕事だ。没頭せずに何かに取り組むことは、普通以下の成果しか出せない非効率な仕事の仕方だ」というコメントにはハッとさせられる。やはり、事業、プロジェクト、チームなどをマネジメントする立場の人こそ肝に銘じておくべき指摘だ。(霹)
 


『その仕事、全部やめてみよう
  1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」』
小野和俊 著
ダイヤモンド社 刊(1500円+税)
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