▼新聞報道によると、経団連の中西宏明会長は「日本の賃金水準がいつの間にかOECDの中で相当下位になっている」と発言したという。確かにそれは由々しきことだが、グローバル市場における我が国の競争環境として、日本の経済界は人件費の高さを長年にわたり嘆いてきた。人への還元を抑制し、デフレ不況を招いてきたのは、ほかならぬ財界自身ではないかとの批判は免れないだろう。

▼今やエリート層に人気の職業といえば高給の外資コンサルティング会社かGAFAか。給料だけで職業を決めているわけではないだろうが、日本の大手企業が彼らに魅力的な報酬体系を提示できているかは疑問である。

▼賃金は数値化が容易なだけまだいい。心配なのは、技術力でも「いつの間にか下位」になっていないかである。IT業界でも多くの企業は「技術や品質では負けない」と胸を張る。しかし、自社の技術が本当に他社と比較して優位なのか、あるいは優位だとしても、顧客にとっての価値につながっているのか。その自省なしに漫然と「技術力はある」と思っていたとしたら、既に「いつの間にか」に陥っている可能性がある。(螺)