▼先日、密を避けて花見をしようということで、日本橋から出発し都心を流れる河川を遊覧する船に乗船した。川面から眺める桜の花も乙なものだったが、それよりも楽しめたのが、ガイドさんによる川や橋の説明。大小合わせて50以上の橋を船でくぐったが、そのほとんどになにがしかの歴史や由来があった。

▼今では東京の風景としてなじんでいる神田川を始め、都心の河川の多くは、江戸時代に掘り割りとして開削されたものだという。一見、自然の風景に見えるものの、実は物流のため、用水のため、あるいは防衛の強化のため、人の手で作られた流れだったのだ。今ではそれらの機能は失われたものの、こうして人の目を楽しませる用に供されている。

▼少なくともIT企業の間では、この1年ですっかりテレワークが普通の風景となり、今後も一定の範囲で定着しそうである。テレワークが導入されたきっかけは、人と人との接触を少しでも避けるためだった。しかしいずれコロナ禍が収束し、さらに時間が経てば、由来など気にすることなく〝自然〟の風景となる。そのとき、テレワークの目的はどのように変わるのだろうか。
(螺)