今日は何の日

<今日は何の日>6月12日『エスペラントの日』

2023/06/12 09:00

週刊BCN 2023年06月12日vol.1972掲載

ITは「希望」を実現できるか

 人類は言語の壁を超えたコミュニケーションのあり方を長らく模索してきた。共通の母語を持たない人々の間で意思疎通を図るための第二言語となる「国際補助語」もその一つだ。とりわけ、エスペラントは国際補助語としてつくられた人工言語として高い認知を誇るだろう。

 「エスペラント」とは、「希望する者」を意味するそうで、考案者のザメンホフ氏のペンネームから取られたという。その言葉に込めた真意は不明だが、言語にとらわれることなく、あらゆる国の人々が自由に対話し、相互理解が深まる世界。それはまさしく「希望」に満ちた世界と言えよう。

 ITの進化は、エスペラントのような国際補助語を使わずとも、多言語コミュニケーションを可能とした。テキストベースであれば、翻訳サイトなどを使うことで、ある程度の意味をつかむことはできる。音声認識の精度も高まっており、発した言葉を即座に翻訳できる技術も夢物語ではないはずだ。

 ただし、言葉の意味だけ把握できても、互いの理解が深まるかは別の話である。当たり前のことだが、相手を思いやる姿勢がなければ相互理解などできるものではない。テクノロジーによる翻訳が発達した現代であるが、「希望」とは程遠いようにも思えてくる。(無)
 


由来
日本で初となる国際共通語「エスペラント」の団体「日本エスペラント協会」が1906年(明治39年)の6月12日に設立され、その後継団体である「日本エスペラント学会」が制定した。エスペラントは1887年(明治20年)に、ポーランドの眼科医であるルドヴィコ・ザメンホフ氏によって考案された。
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