今日は何の日

<今日は何の日>3月18日(1965年)『「明治村」開館』

2024/03/18 09:00

週刊BCN 2024年03月18日vol.2006掲載

100年前の名建築を今に伝える

 国内屈指の名門ホテルである東京の帝国ホテルが、今年から建て替えられる。タワー館、本館の順に工事は進められ、完成予定は2036年という長い工程だ。帝国ホテルは既に複数回の建て替えを経験しており、現在の本館は1970年竣工の3代目。特に名建築とされているのは、1923年竣工の2代目本館だ。設計者である米国の建築家、フランク・ロイド・ライトの名を取って、「ライト館」の通称で呼ばれることが多い。水平線を強調した広がりのある空間に、東洋風の屋根や庭、大谷石やレンガによる優美な装飾が調和する。竣工直前に関東大震災に見舞われながらほぼ無傷という、当時の建物としては群を抜いた強靱さも評価が高い。

 ライト館は取り壊され現存しないが、建物の正面にあたる中央玄関部分が、愛知県のテーマパーク「博物館明治村」に移築されており、往時の威容を今に伝えている。明治村は主に明治から大正期にかけての歴史的な建築物を全国から移築した野外博物館で、国内のテーマパークとしては第3位の広さを誇る。地元の人々すら「何も観光地がない」と嘆く尾張地区だが、当時の日本に少しでも興味があれば、明治村は一度訪れる価値のある施設である。(螺)
 


由来
1965年3月18日、愛知県犬山市にテーマパーク「博物館明治村」が開館した。高度成長期に失われつつあった、文化的価値の高い建築物を移築・保存することが目的。村内に再建された帝国ホテル中央玄関は登録有形文化財。
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