100年で4倍の生産性向上が必要に
将来にかけての人口減少・労働力不足が指摘される現代日本だが、「FIRE」による早期リタイアがその傾向に拍車をかけるかもしれない。エコノミストの著者によれば、所得や消費データを踏まえると今後は15%ほどの人々がFIREする可能性がある。それにより働く人がさらに減り、非婚化も伴って人口も減るため、供給が増えずいくら価格を引き上げても「ほしいものが手に入らない未来」があり得る。
ダウントレンドが今後100年続き、国内人口が現在の4分の1の約3000万人まで縮小するとすれば、GDP規模を維持するためには、単純に考えると「100年で4倍」の生産性向上が必要になる。改善に向けては日本企業に典型的な無駄な会議や調整、忖度を止めることが出発点になり、これらは従業員のストレスを低下させるためFIREの抑止効果も持つとする。
著者自身も「FIRE願望を持つ非婚単身者」ということだが、先の世代のため社会機能を維持する方策をあれこれ考えてくれる姿には少し頼もしさを感じた。生産性向上のため個人ができるのは「10分ぶんの無駄なこと」を毎月一つずつなくすことだという。日々の仕事や生活を見直してみようか。
(実)
『働く人が減っていく国でこれから起きること』
河田皓史 著
朝日新聞出版 刊 957円(税込)