店頭流通

NECカスタマックス 品薄、組織改編とは無関係 シェアも「獲るべき時は獲る」

2002/02/25 16:51

 NECカスタマックス(片岡洋一社長)は、2001年度第3四半期(01年10-12月)の店頭市場でパソコンの品薄が続いたことについて、「需要の読み違えで、15-20%充足していなかった。これは予期しなかったもので、当社の狙いで品薄になったわけではない」(PC販売事業部長・由水憲治執行役員)と強調した。NECは昨年10月に組織改編を行い、コンシューマ向けのパソコン販売会社としてNECカスタマックスが始動し、販売制度の変更も行った。同時期に店頭で品薄となったことで、NECカスタマックスが意図したものと見る向きもあった。

 品薄に同社の意図があったかどうかについて、由水執行役員は「決してそうではない。利益を確保することは重要であるが、今回の品薄は販売機会ロスとなり、逆に収益にはマイナスとなった面もあった」と否定した。また、シェアについても、「獲るべき時期にはきちんとシェアを確保することが重要」として、シェア確保も前向きに取り組んでいく方針を示した。

 NECではパソコン事業の黒字化を目指し、昨年10月にトップシェアに固執しない新たな販売制度を導入し、コンシューマ向けパソコン事業はNECカスタマックスへ移管するなど、大幅な改編を行った。

 それだけに第3四半期の動向については、従来に比べどういった点が改まるのか、販売店、卸業者などから注目が集まっていた。

 これに対し、新製品投入直後の11月半ばから品薄となり、BCNランキングでは春モデルへの製品切り替えと重なった02年1月14日から20日までの1週間は、デスクトップパソコンでシェア12.5%、業界3位にまで落ち込んだ。ノートパソコンでは、トップ10位内に1製品がランクインしているものの、デスクトップのトップ10にはNECパソコンが1製品も含まれていなかった。

 この原因を由水執行役員は、「第3四半期のコンシューマ市場は、日本IBMが企業向け製品へのシフトを表明するなど、マーケットが大きく変化し、NEC、ソニー、富士通の3社寡占化が進行した。当社はこの変化に気づくのが遅れ、需要を満たすだけの部材が揃わなかった」と分析する。

 昨年10月に行った販売制度の変更では、従来行っていた在庫処分のための資金援助制度を廃止し、不良在庫の削減を目指した。そのため、不良在庫をなくすために、意図して品薄状態を作ったのではという見方も出ていた。

 だが、「それは全くない」と完全否定。「当社と流通の両方にWIN・WINの関係を作ることが目的。それにもかかわらず、商品供給が不本意な結果となってしまった」と、製品の供給不足が新体制にとってはむしろマイナスになったという。

 シェアについても、「製品の投入直後など、シェア確保が必要な時期にはきちんとシェアを獲っていく。これまでのように『在庫を切らせたら負け』という事態は誤りだと考えているが、だからといってシェアは要らないと考えているわけではない」と、シェア獲得に否定的ではない考えを示した。

 現在進行中の春商戦については、「狙いで品薄状態をつくっているわけではない。このことを示すために、適切な商品提供を行うことが重要」として、春商戦については品切れを起こさない体制作りを進めている。

 需要予測の精度をあげるために、これまで特定店のみから得ていた在庫実績データの取得対象店舗を拡大していくことや、NEC製品を一定量売り切るというコミットメントを販売店から得ることも検討している。
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外部リンク

http://www.custommax.nec.co.jp/