店頭流通

ビックピーカン新宿西口店、開店 年商150億円の巨大店舗誕生

2002/05/27 16:51

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

 ビックピーカン新宿西口店が5月23日(木)に開店した。売場面積3000m2、店員70人体制で年商150億円を見込む。小田急百貨店内に位置し、兄弟会社のビックカメラと合わせて4フロア半(計1万2000m2)を占める。

年商150億円の巨大店舗誕生

 安積克彦ビックピーカン社長(=写真)は、「これまでヨドバシカメラに足を運んでいた10人のうち2人は獲れる」と鼻息が荒い。ビックカメラ・ピーカンとも、高級感漂う百貨店内への出店ということもあり、相談窓口「PCサポートスクエア」を設けるなど、サービスの向上にも気を配る。ビックカメラは店員149人体制。年商はピーカンと同じ150億円を見込む。

 ビックカメラ・ピーカンは、東京・有楽町店(01年6月開店)に続いて、駅前巨大店舗を新宿西口に開店した。今回の新宿西口店は、有楽町店(売場面積1万3800m2)とほぼ同規模。だが、新宿西口店は百貨店との共同運営であるという点が決定的に違う。

 有楽町店や立川店など、百貨店跡地に出店したことはあるものの、百貨店との融合店舗は初めての経験。「百貨店の客層をうまく取り込む接客、店づくりをする」(ビックカメラ・宮嶋宏幸取締役営業部長)と、百貨店とのバランスに注意を払う。新宿駅西口は、1日あたりの乗降客350万人、小売業の市場規模が年間5000億円という巨大市場。このうち小田急百貨店は新宿西口地区で年間1200億円を売り上げる。ビックカメラ・ピーカンは、2社合わせて年商300億円を見込む。今回ビックグループが入居したのは、小田急百貨店別館(ハルク)の約半分を占める売り場(2階一部から6階まで)で、小田急側もスポーツ用品や地下食品売り場を運営する。文字通りの融合店舗である。

 小田急百貨店総務部広報課の石川和意プランナーは、「別館(ハルク)は新宿西口の北側にある。新宿南口の再開発が進み、競合の高島屋が出店したことで客の流れは南側を向いている。これに対抗するため、北側の集客力を高める必要がある」と、ビックグループ誘致の経緯を話す。「小田急百貨店の本館と別館を合わせた1日あたりの来店客数は14-15万人。今回ビックグループが入ったことで、2-3割増しの同20万人に増えるだろう」と、集客力の拡大を図る。ビックグループにとっては、宿敵ヨドバシカメラの本拠地である新宿西口本店の目と鼻の先に出店することで、敵勢力を削ぎ落とせるという利点がある。ヨドバシカメラは新宿西口地区だけで年間1300億円を売り上げると言われており、今回のビックグループの300億円は、「大人と子供くらいの差がある」(安積社長)ようなものである。

 安積社長は、「新宿西口のヨドバシカメラに足を向ける顧客のほとんどが、ヨドバシのポイントカードをもっている。これではなかなか当店でカネを落としてくれない。西口の顧客に対して当社のポイントカードの浸透率を高め、2-3か月あとにはビックのポイントカードで固定客を掴む」と、“目には目を”の戦術で臨む。最終的には、ヨドバシの固定客の2割を奪う狙いだ。ビックグループが出店したことで、新宿西口における家電・パソコンの売上規模がさらに拡大する可能性もある。ビックピーカン有楽町店の石崎徹店長は、「有楽町にソフマップが出店(01年11月)してから、逆に売り上げが伸び始めた。新宿西口でもヨドバシやさくらやとの相乗効果が期待できる」と話す。小田急百貨店の石川プランナーも「新宿西口は、AV(音響映像)やパソコンなどニューメディアの街に変貌した。ビックカメラを招いたのも、こうした街の変遷があったから」と、西口全体の移り変わりを反映したテナント選びだったという。
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外部リンク

http://www.bicpkan.com/