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大手電機3社の2024年度決算 高い利益を創出も、より“強い”企業体質に意欲
2025/05/19 09:00
週刊BCN 2025年05月19日vol.2059掲載
(取材・文/藤岡 堯、堀 茜)

富士通
Uvanceの拡大続く
富士通は売上収益が前期比2.1%増の3兆5501億円、調整後営業利益は15.8%増の3072億円と伸び、調整後当期利益は過去最高を記録した。成長領域に位置付ける「サービスソリューション」事業が好調に推移し、特にオファリングを中核とする事業モデル「Fujitsu Uvance」と、モダナイゼーションが業績に大きく貢献した。時田隆仁社長CEOは現行の中期経営計画の最終年度にあたる25年度について「サービスソリューションを中心に収益性は今後も拡大すると見込んでおり、引き続き事業モデル、事業ポートフォリオの変革を進める」と意気込んだ。
サービスソリューションの売上収益は5.1%増の2兆2459億円、調整後営業利益は22.2%増の2899億円で過去最高を更新。調整後営業利益率は12.9%と前期の11.1%から改善した。標準化、自動化が奏功し、売上総利益率は36.7%に達している。時田社長CEOは「生産性を上げる余地はまだまだある」と述べ、さらなる効率化に意欲を示す。
Uvanceの売上収益は31%増の4828億円となり、全体の売り上げにおける構成比は前期の17%から21%に拡大。コンサルティング事業ブランドの「Uvance Wayfinders」の立ち上げもあり「お客様の経営変革のアジェンダ策定から実装までをリードする商談も生まれている」(時田社長CEO)という。

モダナイゼーションビジネスではクラウド移行やDX推進に伴う需要を取り込み、売上収益は前期比86%増の2969億円と大幅な伸長を遂げた。
「ハードウェアソリューション」事業は売上収益がほぼ前期並みの1兆1199億円だったが、為替影響によるコスト増、製品構成の変化などを受け、調整後営業利益は26.8%減の613億円と大きく下振れした。「ユビキタスソリューション」事業は欧州ビジネスからの撤退で減収だったものの、国内集中により採算性は改善した。
「デバイスソリューション」事業は、新光電気工業、富士通オプティカルコンポーネンツ、FDKの譲渡に伴って非継続事業へと変更されており、全体の業績については、前期比を含めて継続事業の数値をベースとして算出している。中期計画に関しても目標値を修正し、売上収益で3兆7900億円、調整後営業利益で4200億円、調整後営業利益率で11.1%を掲げている。
25年度の通期見通しでは、売上収益を3兆4500億円、調整後営業利益を3600億円、調整後営業利益率を10.4%に設定。過去最高益の更新は見込むが、為替影響やネットワークプロダクトのデマンド回復の遅れなどを背景に、目標値までには届かない見通しを示す。
業績の公表と合わせ、フォトニクスシステムやモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を承継する新会社「1FINITY」(ワンフィニティ)を7月1日付で設立すると発表した。時田社長CEOは「研究開発や製造、販売保守といった機能を集約し、経営のスピードを上げ、グローバルでの競争力を高める」と目的を説明した。
- NEC 中計目標を前倒しで達成
- 日立製作所 DX・モダナイズ需要が追い風
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