全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>31.神奈川・横浜駅(下)

2004/06/14 18:45

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

 横浜駅周辺は、ビジネス街であるとともに、百貨店や飲食店、若者向け衣料品店などが建ち並ぶショッピングゾーンでもある。横浜駅周辺に勤める会社員をはじめ、高校生や大学生、ファミリーなど客層が広いのが特徴だ。そのため、さまざまな年齢層に合った店舗作りが来店者数を増やすための策になる。

ヨドバシ、専門性と量販の両立

 ヨドバシカメラの「マルチメディア横浜」では、パソコンおよび関連機器を販売する駅前の「横浜駅前店」と、AV(音響・映像)機器や家電を扱う「AV・家電総合館」、ゲーム機器および関連ソフトを展示した「ゲーム・ホビー館」の3店舗を構える。

 3館それぞれに専門性をもたせ、量販店の強みである50万アイテムという豊富な品揃えで幅広い顧客層を獲得している。

 松田謙一・マルチメディア横浜店長は、「パソコン関連機器を購入するお客さんと家電機器の購入者層は異なる。お客さんに合った展示や接客を行うことが重要」と強調する。「幅広い客層のなかで共通して購入するのがデジタルカメラと携帯電話。この2つの商品は横浜駅前店とAV・家電総合館の1階店頭および入り口近くに展示し、店内に入りやすい環境を作った」という。1日平均の来店者数は、平日が1万人弱。土日は1万5000人以上で推移。駅前周辺にある店舗のなかでは比較的多い。来店者は10歳代から50歳代までと幅広く、年齢別に分類すると「構成比がほぼ均等になる」と、さまざまな年齢層が来店する店舗として定着しているようだ。

 専門性という点では、パソコンおよび関連機器の展示が特徴的。「ユーザーにとって、見やすさに加え、どの周辺機器と組み合わせれば最適に使えるかを提供する」というコンセプトでデモコーナーの設置を徹底している。「パソコンの家庭への普及率が高まっており、これまでのような伸びは期待できない」とは認識しているものの、マルチメディア横浜全体の売上比率で最も高いのがパソコン関連機器。そのため、外付けHDDや記録型DVDなどとパソコンをセットで展示し、周辺機器の拡販を図ることで売上高を伸ばしている。AV・家電総合館内でも、「今夏は薄型テレビの需要がさらに増える。ユーザーが自分の家庭で使うイメージが広がるような体験コーナーを設ける」と専門性を追求する。

 2004年度(05年3月期)は、薄型テレビの販売増を見込んで、売上高は前年度比15%増前後を目指す。ヨドバシカメラは、横浜駅周辺の店舗で売上高を伸ばしていくことで神奈川県内の家電市場でしっかりと足場を固め、国内全体のマーケットシェアの拡大につなげる。(佐相彰彦)
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