全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>82.東京都足立区(中)

2005/06/27 18:45

週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載

 大手家電量販店が他店との差別化を図る戦略の定番が大型店の設置だ。広い売り場面積は、冷蔵庫や洗濯機など大型の白物家電をはじめ、大画面の薄型テレビやDVDレコーダーなど商品を多く展示できる。さらにパソコンおよび関連機器の売り場で商品の機能を理解できるデモコーナーも設置可能だ。来店客に〝ここに来れば欲しい商品が見つかる〟と意識させ、リピート率の向上につなげるという意図がある。

ヤマダ、専門店で差別化

 各量販店とも、2000-3000平方メートル規模のショップの出店を加速させており、品揃えもファミリー層を顧客として獲得するために白物を中心とした生活家電の充実に力を注いでいる。

 そんななか、ヤマダ電機が東京都足立区の環状7号線沿いに構える売り場面積2000平方メートル級の「Digital(デジタル)21足立店」は、パソコンおよび関連機器を中心に薄型テレビやDVDレコーダー、オーディオなどのAV(音響・映像)機器など「デジタル機器」を専門に扱う店舗として展開している。ヤマダ電機にとって、東京都では初めての専門店であり、郊外型の競合量販店との差別化策として出店した戦略的なショップだ。

 同店は地上1-3階。1階部分が駐車場、2階でAV機器の販売、3階をパソコンおよび関連機器コーナーとしている。2階では薄型テレビなどハード機器コーナーを設けており、DVDソフトや音楽CDなども扱っている。パソコンおよび関連機器売り場では、デモコーナーを充実させているほか、競合店の群を抜く品揃えと中古パソコンの販売で多くの来店客を獲得している。

 専門店は、家電量販店と比べ家族が来店するケースが少ない。この課題を解決するため、2階部分に玩具コーナーを設置。1階の入り口付近には硬貨を入れてレバーを回すと玩具が出てくる通称ガチャポンのコーナーを設けた。これにより、幼児を持つ20─30歳代のヤングファミリーが来店するようになった。

 家電量販店にとってメイン顧客となる白物家電の購入者については、デジタル21足立店から車で10分程度離れた場所の国道4号線沿いに店を構える「テックランド足立店」で獲得している。テックランド足立店は売り場面積が4000平方メートルで、大型の白物家電を充実させているのが特徴。なかでも冷蔵庫の品揃えは競合店よりも多い。ヤマダ電機は、デジタル21足立店でパソコンユーザーやAV家電ユーザーを獲得、テックランド足立店で家電ユーザーを来店させるというアイテム別に来店客を分けるドミナント(高密度多店舗展開)戦略で足立区のマーケットシェアを伸ばしている。(佐相彰彦)
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