秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]37.8月、「つくばエクスプレス」開業

2005/07/25 16:51

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

 今年8月24日、首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」がいよいよ開通する。同線は秋葉原とIT学園都市のつくば(茨城県つくば市)を最短45分で結ぶ。日本で有数のIT地区をつなぐことで注目を集めているわけだが、この列車にもITを駆使しようという動きが出ている。

 首都圏新都市鉄道とインテル、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)の3社は、つくばエクスプレスの車内で無線LANを利用するトライアル(実験運用)を共同で実施する。トライアルでは、NTTBPが特別に構築した無線LAN技術を活用。ネットワークを列車内と駅舎などに構築する。開業当初は、秋葉原や浅草駅、北千住駅など主要9駅の公衆無線LANを整備、今年秋頃には全駅となる20駅で提供する。

 インテルの吉田和正共同社長は、「無線LANは利便性が利用者に認知されつつある。列車内でインターネットの情報やコンテンツなどのサービスを利用できるという点では、今回のトライアルは大きな意味を持つ」と話す。

 首都圏新都市鉄道の橋信和社長も、「つくばエクスプレスに最新技術を次々と取り入れていく。ぜひ“ITエクスプレス”として認識してもらいたい。列車内で無線LANを利用できるようになれば、まさに画期的」とアピール。NTTBPの小林忠男社長も、「チャレンジではあるが、無線LAN環境が実現できれば、他にはない先進的なサービスになる」と訴える。

 今回のトライアルは商用化を視野に入れたもので、「できるだけ早急に事業化することを計画したい」(NTTBPの小林社長)という。さらに、「無線LAN環境を広めていくことが、豊かなコミュニティ形成“デジタル・シティ”の実現には必要」(インテルの吉田社長)との観点から、将来は列車内だけでなく駅構内すべての施設で無線LANを利用できるようにする。こうした取り組みは、先進的な技術を秋葉原地区から発信していく布石を打つことにもつながる。(佐相彰彦)
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