石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>27.ドルビーが考える次世代ホームシアター

2005/10/17 16:51

週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載

 ドルビー日本支社は8月、次世代サラウンドフォーマット「ドルビーデジタルプラス」と「MLPロスレス」について説明した。同社によると、2006年から07年初頭にかけて、これら新フォーマットに対応するAV(音響・映像)アンプが登場するという。

 「ドルビーデジタルプラス」は、ドルビーデジタルの後継として将来主流になると見込まれるサラウンドフォーマット。従来のドルビーデジタルが5.1chであったのに対し、ドルビーデジタルプラスはモノラルから、映画館向けのフォーマットとして想定されているデジタルシネマの最大14ch(13.1ch)まで拡張可能。また、許容ビットレートが32k-6Mbpsと幅広いのが特徴。これは容量の制約が少なく、クオリティの高さを求めた次世代光ディスク(ブルーレイやHD DVD)と、帯域が限られる放送用途の両方に適応させるため。また音質面では、圧縮効率の向上などにより、ドルビーデジタルのモノラル96kbpsとドルビーデジタルプラスのモノラル32kbpsが同程度の音質になるという。

 一方のMLPロスレスは、英メリディアンが開発したロスレス音声圧縮方式で、ドルビーがライセンスと技術サポートを担当している。チャンネル数は異なるものの、DVDオーディオが「Packed PCM」という名称で採用している技術であり、その特徴は音質にある。

 MLPロスレスは、原音への完全な復元が可能な音声圧縮方式で、品質を極めたフォーマットといえる。MLPロスレスは効率もいい。次世代ディスク用のMLPは最大8chで、従来の2倍近い18Mbpsのピークデータレートをサポートするが、一般的な映画音声をMLPロスレスに変換すると、多くの場合でデータレートは平均1.5Mbps以下に抑えられるという。つまり、CD-DA程度のデータ量で、マスタークオリティの5.1chを実現できるのである。

 これらの新フォーマットは、次世代光ディスクと同期する形で普及していくと考えられる。実際、ドルビーデジタルプラスはHD DVDで必須、ブルーレイディスクでもオプション設定されている。ただし、対応するプレーヤーやAVアンプは、従来製品とは接続方法が異なるようだ。ドルビーデジタルプラスは次世代光ディスクプレーヤーとデコーダ搭載AVアンプ間は、HDMIあるいはIEEE 1394で接続する。気になる製品の登場時期についてドルビーでは、ドルビーデジタルプラスデコーダー搭載のAVアンプは06年以降。MLPロスレス対応アンプも同時期になる、と予想している。
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