秋葉原は今

<秋葉原は今>8.T・ZONE、BTOパソコンの販売へ

2006/01/16 16:51

週刊BCN 2006年01月16日vol.1121掲載

 秋葉原電気街で組み立てパソコン用パーツ専門店が新しいビジネスモデルを構築する動きが出てきた。T・ZONEストラテジィは、今年2月をめどにBTOパソコンビジネスを本格的にスタートする。ウェブでの販売を中心に、パーツ専門店「T・ZONE. PC DIY SHOP」内にウェブ購入が可能なコーナーを設けるほか、注文を受け付けるサービスカウンターなどの設置を計画。「当社ならではの店頭BTOモデルを構築する」(岡本護取締役)考えだ。

 「これまでも、完成済み自社ブランドのオリジナルモデルを、購入者の要望があればカスタマイズしてきた。そのため、BTOパソコンビジネスを展開していくノウハウは持っている」と自信をみせる。地上3階建てで構成される店舗の3階部分をBTOパソコンフロアに改装することを予定。パソコン販売による売上増は、06年度(07年3月期)に店舗販売で前期比10%増の見込み。ウェブ販売で2億5000万円規模と、現状に比べ2倍の売上高を目指す。

 年末年始の秋葉原電気街は、駅前の都市再開発で街の集客力が高まったこともあり、「季節商品の暖房機器や需要増大が続く薄型テレビが良く売れた」という家電量販店が多い。

 一方、パーツ専門ショップからは「パーツ販売は、台数が若干伸びたが、売上金額に伸びがない」とジレンマに陥ったとの声が多い。これは、売価下落が最大の原因。JR秋葉原駅前の都市再開発で集客力が高まっているものの、自作パソコン上級者が必ずしも増えているというわけではないためだ。自作初級者や中級者は、多くのショップに置いてあるメジャーな商品を購入するケースが多い。この初・中級者のパイを奪い合おうと、価格競争が一段と加速しているわけだ。

 T・ZONEストラテジィも、「若干ではあるものの、冬商戦は売り上げが前年同期よりも悪かった」と漏らす。BTOパソコンビジネスへの取り組みは、パーツビジネス縮小による売上減を挽回するためのものだ。(佐相彰彦)
  • 1