店頭流通

イリイ 経営資源を集中 B2C型業務システムに注力 CTIなど得意分野を生かす

2006/07/31 18:45

週刊BCN 2006年07月31日vol.1148掲載

 業務パッケージソフト開発のイリイ(北野孝司社長)は、主に一般コンシューマを対象としたビジネスを手がける“B2C型”企業向け基幹業務システムの開発・販売に経営資源を集中する。これまでは企業を対象とした“B2B型”の基幹業務システムをビジネスの柱としていたが、注力分野を明確化して経営資源の分散を防ぐことで、より確実な成長を目指す。

 イリイはB2C型、B2B型の両分野をカバーする基幹業務システムの品揃えで業績を伸ばしてきたが、ここにきてB2C型の領域に軸足を移す方針を固めた。従来からのB2B型を対象とした基幹業務システムの販売は継続するものの、新規商品の開発ではB2C型を念頭に置いた設計としていく方針だ。

 インターネット通販の需要拡大を受けて、一般コンシューマ向けに商品を販売している事業者が通販システムを拡充したり、コールセンターを増設するなどの動きが活発化している。イリイは中小規模向けCTI(コンピュータと通信の融合システム)やインターネット通販に対応した販売管理システムをいち早く投入しており、「競合他社をリードしている」(青沼克一取締役)とB2C領域における業務システムの市場競争力が高いとみている。

 1990年代後半から販売を始めたCTIシステムの累計納入数は2000社を突破、このうちインターネット通販対応の販売管理システムの納入数は累計約200社の実績を誇る。売上高全体に占めるB2C型企業向け業務システム関連の比率も拡大しており、昨年度(06年3月期)は約6割に増えた。今年度は継続して引き合いが増えていることから7割程度に拡大する見込み。

 一方、B2B型企業向けの財務会計や人事給与の事業は現状維持にとどめる。CTIを駆使したコールセンターやインターネット通販などイリイが得意とする要素が少ないなど競合他社との差別化が難しくなっていることが背景にある。激しい競争で体力を消耗するより、得意とする領域で有利な展開を図ったほうが得策と判断した。

 インターネット通販システムの需要拡大やPBX(構内電話交換装置)のIP化などが急ピッチで進んでいることから、今年度末までにはウェブに完全対応した新しいB2C型企業向け基幹業務システムを完成させる。経営資源の集中や新製品投入などにより、2年後の08年度は昨年度売上高約8億8000万円の実績に対して約1.6倍の14億円の売り上げを目指す。
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