店頭流通

シマンテック No.1奪還の理由と年末商戦向け施策 新任の営業トップ、丹羽誠執行役員に聞く

2008/11/03 18:45

週刊BCN 2008年11月03日vol.1258掲載

 シマンテック(加賀山進社長)は、コンシューマ向けセキュリティソフトで9月のメーカー別月間販売本数シェアでNo.1に返り咲いた。BCNランキング史上、1度も年間販売本数でNo.1を譲ったことがないトップメーカーだが、今年は競合のトレンドマイクロに押されて苦戦気味。2008年の年間トップの座は危うい状況だ。そんななかで巻き返したシマンテックはどんな手を打ったのか。今年7月に日用品メーカーからシマンテックに移籍し、コンシューマ製品の営業をまとめる丹羽誠・コンシューマ営業統括本部執行役員統括本部長に聞いた。

 ――9月の月間販売本数はトップ。それまでの低迷が嘘のようにシェアが跳ね上がった。新版を出した効果だと思うが、上昇率はかなり急カーブだ。

 意外とは全く思っていない。むしろまだ上げられる力がある。製品が持つ機能と品質はもちろんだが、消費者の目線に立った広告、販売チャネルとの連携の3要素が有機的につながった証だろう。当然、今年も年間販売No.1を獲る。

 ――製品力と広告では何を重視したか。

 「軽さ」と「速さ」。ソフトの容量は他社製品に比べ小さく、セキュリティソフトが入っていないと思わせるほど、PCにかける負担が少ない。どのベンダーも強化ポイントに置いていると思うが、どこよりも勝っているという自負がある。新版はパフォーマンス向上だけで300個以上の改善を図った。

 広告展開では、広い世代から支持されている中川翔子さんを起用した。中川さんがウイルス感染した際、当社製品で駆除したという実話をキーメッセージに置いて消費者にPRしている。ユーザーからの評価が上々で、販売店の評判もよい。

 ――8月までの苦戦をどう分析している?

 私はある日用品メーカーから7月にシマンテックに移籍した。それまでの状況を語る立場ではない。

 ――IT製品の流通は初めてだが。

 前職ではBtoC向け商品を店頭に置くメーカーにいた。ITは初めてだが、BtoC向け商品の販売は熟知しており、過去の経験は十分活用できる。抵抗は全くない。

 ――年末商戦向けの新施策はあるか。

 店頭でPCを購入したユーザーが同時にセキュリティソフトを購入しやすくする専用タイトルを設けようと考えている。PCとのセット販売だ。11月には開始する計画で準備している。現在、売れ筋は3台のPCに使える3ライセンス版だと思うが、この専用タイトルでは1ライセンス版にするつもりだ。PCを買ったユーザーは、とりあえず新しく購入したPCにソフトを導入したいと思うはずで、3ライセンスも必要ないだろう。

 ――ミニノート、UMPCが急成長中だ。この分野への拡販を意識して、他社はUSBメモリにソフトを格納した新タイトルを発売した。追随はあるか。

 CD-ROMからUSBメモリに変えればコスト高になる。当社はその形式が最適とは考えていないので、追随の可能性はない。CD-ROMドライブを持たないミニノートやUMPC向けには違う形でアプローチする。今はいえないが、そのための手は打っている。当社のソフトの容量は他社製品よりも群を抜く小ささ。HDD容量が小さいミニノートとUMPCには、他社よりも適しているので、USBメモリとは違うデリバリ方法で拡販を図る。
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