店頭流通

記録メディアはどこに向かう!? メーカー各社、BDに活路

2009/01/12 16:51

週刊BCN 2009年01月12日vol.1267掲載

レコーダーの充実が追い風に

 DVDディスクなど記録メディア専業メーカーがBD(ブルーレイディスク)に活路を見出そうとしている。HDDレコーダーの登場でDVDメディアの需要が縮小傾向をたどっているのをカバーするためだ。高画質の映像保存を訴えることで事業拡大を図っていく。

 日立マクセルは、BDメディアの新製品発売にともない、2008年秋からキャンペーンを実施。ディスクに残すメリットを訴えることで記録メディア事業の拡大を図っている。これは、「ハイビジョンの需要を掘り起こしていく」(山本章貴・コンシューマ販売事業部商品部長)との考えからだ。

 イメーションは、店頭での販促活動を強化している。陳列棚にBDメディアの使い方やQ&A方式による説明などを記した小冊子を置いているほか、防犯対策も踏まえた「レジまでカード」と呼ばれるアイテムを用意。長野京一・コンシューマ商品マーケティング本部プロダクトマネジメント部メディアグループスペシャリストは、「追い風が吹いている」と自信をみせる。コンシューマユーザーにBDの優れた点を意識させる販促活動が需要を喚起する原動力となった。

 記録メディア専業メーカーがBDの販売に力を注いでいるのは、BDレコーダーのラインアップが充実してきたことでBDにシフトするユーザーが増え始めていることが要因だが、ほかにもいくつか理由がある。ひとつは、保存ニーズを一段と高めるためだ。HDDレコーダーのユーザーはテレビ番組などを録画するもののディスクに残すケースは少ない。加えて、ブルーレイディスクはDVDディスクと比べて価格が高いという実情もある。DVDメディア市場が縮小しつつあるなか、BDメディアの需要を押し上げることでメディア事業を好転に結びつける狙いがあるのだ。

 また、ユーザーがBDメディアを購入する際に、パナソニックやソニーなどBDレコーダーメーカーと同一のブランド品を購入することが多いことも理由のひとつ。この傾向はDVDメディアよりも顕著だ。ユーザーにしてみれば、「BDレコーダーのブランドと統一したほうが再生互換性などの問題が起きにくい」という意識が強く働く。こうした意識を払拭するため、「BDレコーダーの色がない分、逆にメディア専業メーカーとして“マルチ対応”を押し出していく」(イメーションの長野スペシャリスト)ことで、BDレコーダーの“ついで買い”に位置づけられつつあるメディアのリピート購入を促していく。

 08年は、夏に北京五輪が開催されたにもかかわらず記録メディアが予想に反して厳しい状況だったこともあり、各社とも秋以降にBDメディアの拡販を図るための策を講じてきた。こうした取り組みが功を奏し、イメーションでは今年11月の時点でBDメディアの販売が前年と比べて5~6倍の伸びを記録した。「BDメディアは高額」という認識を払拭するために2層(DL)のBDメディアで10枚パックなどのパッケージ化を展開。価格の割安感を出したことがユーザーに好評であることからも、「今後も、同程度の伸びを維持する」(長野スペシャリスト)と自信をみせている。日立マクセルでは、“My HDD”を掲げた「iVDR」の発売も相まって「ディスクとHDDの両輪で、記録メディアの売上高として2ケタ成長を狙う」(山本部長)と、こちらも強気の姿勢だ。

 映像関連の記録メディアは、薄型テレビやレコーダーなどで活用されているケースが多い。しかし、今後は「パソコンでもユーザーがBDメディアを活用することを促していけるのではないか」(イメーションの長野スペシャリスト)との見方もある。パソコンを介した映像用途やデジタルカメラ画像のBDメディア保管などを促進するための策を模索できるというわけだ。現段階ではユーザーのほとんどがテレビ番組などを録画・保存するためにBDメディアを購入していることになるが、パソコンで活用されるようになれば、ベンダーにとって大きなビジネスチャンスに結びつくといえそうだ。

 このことはパソコンの新しい需要を掘り起こすという点でも、BDメディアが起爆剤のひとつになる可能性を示しているように見える。
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