年末商戦期に急激に需要を伸ばすインクジェットプリンタ(IJプリンタ)の売れ筋が多様化してきた。用紙サイズ別では、「A6/ハガキ」「2L版」のモデルが売れ行きを伸ばしているほか、パソコンを介さずにハガキ作成が可能な用途特化型の製品も好調だ。主力の「A4」「A3」機器に加え、特化型製品が出てきたことで、IJプリンタ全体の平均単価は、2年ぶりに2万円台に回復してきた。
2009年11月の用紙サイズ別台数比率では、「A6/ハガキ」が5.0%、「2L版」が4.2%と、いずれも比率が上昇し、「A3」を抜いた。これにより主力となっている「A4」の比率は、前月に比べ3.3ポイント減少し、90%を割り込んだ。
「A6/ハガキ」はエプソン、キヤノンの二強のほか、カシオ計算機が上位に進出。「2L版」はパソコンを介さずにハガキ作成が可能なカシオ計算機の「プリン写ル」が大半を占める。同製品は、簡易キーボードで文字入力することで、手軽に年賀状などハガキ作成が可能で、煩わしい操作を敬遠する年輩者などに受けているようだ。
売れ筋が多様化し、IJプリンタ全体の単価アップが顕著になった。09年9月の1万6000円を底に、同年11月には2万400円へと上昇。平均単価が2万円台を回復したのは、07年11月以来。09年末は旧モデルの処分が完了したことも単価アップの要因だ。