店頭流通

カシオ 小型プリンタ「プリン写ル」 昨年末にメーカー在庫完売

2010/02/10 18:45

週刊BCN 2010年02月08日vol.1320掲載

 カシオ計算機(樫尾和雄社長)は、パソコンを介さずにハガキや写真を印刷できる簡易キーボード付きの小型インクジェットプリンタ「プリン写ル」シリーズの2009年9月発売モデルが好調な売れ行きを示し、年末にはメーカー在庫を売り切ったことを明らかにした。

柿元卓
コンシューマ戦略部
CES企画室室長
 同社は03年11月にシリーズ第一弾「PCP-50」を発売。07年には、従来機種よりも大きい7型ワイド液晶モニタをタ搭載したモデルを投入するなど、店頭モデルを強化した。その結果、07年は、台数ベースで前年比1.2倍に拡大。毎年、年末商戦に合わせて新製品を投入し、メインターゲットである年配者を中心に、パソコンで年賀状を作成しないというユーザーを獲得してきた。

 その傾向は、実売データ「BCNランキング」をみても、顕著に現れている。他のメーカーが同様の製品を投入していなかったこともあって、年末のフォトプリンタ市場は「プリン写ル」が台頭、カシオは瞬間風速的に30~40%前後の高いシェアを獲得するという流れが続いてきた。

 しかし、09年はエプソン販売が、「プリン写ル」のような簡易キーボードが付いた小型インクジェットプリンタ「E-800」を投入。カシオにとって、ライバル製品が登場したことで、09年年末は、例年のカシオの独壇場から一変、カシオとエプソンが拮抗する形となった。

 こうした背景から、カシオは拡販施策を強化。売り場への年賀状印刷コーナーの提案強化に加え、地域の郵便局と協力して年賀ハガキと一緒に「プリン写ル」をアピールするなどの取り組みを行った。こうした取り組みが奏功し、09年年末の「プリン写ル」の販売台数は「想定以上に拡大」(柿元卓・営業本部 戦略統轄部コンシューマ戦略部CES企画室室長)することとなった。また、エプソンの「E-800」登場による認知度拡大が追い風となり、「市場全体は前年比120%」に拡大するなど、活性化した。

 「プリン写ル」は、「ハガキ印刷がメインで、写真も印刷できる」ことをコンセプトにしているため、需要期が年末に集中している。これを「通年で売れるように提案を強化していく」のが課題だ。すでに、写真に俳句を添える「写真俳句」を提案するなど、年賀状印刷以外の用途提案強化も行っているが、今後は、ユーザーのすそ野拡大を図るため、さらに新たな提案を模索していく。また、10年の年末は09年に引き続き、地域の郵便局との連携にも力を入れていく方針だ。(田沢理恵)
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