店頭流通

浅沼商会 フィルム専用スキャナ市場に存在感

2010/02/25 18:45

週刊BCN 2010年02月22日vol.1322掲載

 銀塩カメラの35mmフィルムをデジタル化するフィルム専用スキャナ。2009年に各社が1万円程度の低価格な入門機を投入したことで、市場が立ち上がった。09年の「BCNランキング」スキャナ全体における割合は、販売台数で8%、金額で5.3%。08年は販売台数0.8%、販売金額3.1%で、規模は決して大きくはないが、フィルム専用機のジャンルは徐々に認知されてきている。浅沼商会(高木康雄社長)に、製品化の背景と今後の方向性を聞いた。

法人営業部販売課
今野英訓氏
 カメラ周辺機器の総合卸メーカー、浅沼商会がフィルムスキャナを初めて披露したのは、参考出品のかたちで展示した写真・映像の総合展示会「フォトイメージングエキスポ2009」でのことだった。同社ブースへの来場者にフィルムの管理について調査したところ、「ビニールに入ったままの状態になっている」「カメラ店に現像を依頼している」など、多くのユーザーがアナログで管理している実態が明らかになった。この状況を受けて、製品化を企画したという。

 「手持ちのフィルムを蘇らせたい、という潜在的なニーズがあった」と、製品開発を担当する法人営業部販売課の今野英訓氏は振り返る。具体的には、デジタルカメラで取った写真と同じように、フィルムの写真をデータのかたちで管理したい、という要望だ。ユーザーは、過去に銀塩カメラを使っており、フィルム資産を持っている60~70歳代の年配層が中心。一方で、最近流行しているトイカメラなどを使う若い女性も手に取るようになってきた。

イメージング事業部
商品部キング企画課
北村晃氏
 CABINブランドの「コンパクト フィルムスキャン35(CFS-2.5)」について、マーケティング担当のイメージング事業部商品部キング企画課の北村晃氏は「広告はまったく打っていない。業界紙などに新製品の記事が掲載されたくらい」と明かす。それにもかかわらず、銀塩カメラユーザーから予想以上の反響があった。

 フィルムスキャナはPC周辺機器だが、カメラ周辺機器でもある。家電量販店ではスキャナ売り場だけでなく、カメラ、フォトフレーム、プリント窓口など、関連する多くの売り場に製品を展示。露出を増やしたことが認知向上に結びついた。

 2010年は「遊び道具で写真を楽しんでもらう」ために、昨年発売したフィルムスキャナのほか、デジタルフォトフレーム、デジタルアルバムなど、既存製品のラインアップを拡充する。こうしたカメラ周辺機器を通じて、ユーザーに多面的なカメラライフを提案し、拡販につなげていく構えだ。(井上真希子)

家電量販店のスキャナ売り場には、シートフィード型やフラットベッド型に加え、フィルムスキャナも並ぶ(ビックカメラ新宿西口店)
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