イメーション(市村操代表取締役社長)は、記録メディアで定評のあるブランド「TDK Life on Record」をオーディオブランドとして位置づけ、本格的に市場に参入する。2010年は、ヘッドホン・イヤホンをはじめとする関連製品のラインアップを強化する。記録メディアを除くTDKブランドで、売上高構成比20%の獲得を目指す。

桂幹本部長
 「TDK Life on Record」をオーディオブランドに据える理由は明確だ。桂幹コンシューマ商品マーケティング本部本部長は、「ユーザー調査を実施したところ、TDKブランドに『音楽』のイメージをもつ人が、日本だけでなく海外でも多かった」と指摘する。TDKには1966年に初の国産カセットテープを発売するなど、70~80年代、高品質のカセットテープで業界をリードしていた歴史がある。とくに30~40代の男性に、このイメージが強く残っている。

 ブランドのキーワードは、「記録・保存・再生」。さまざまなオーディオ製品があるなかで、最初の製品としてヘッドホン・イヤホンを選択し、09年12月にカナル型「TH-EB900」を投入した。ヘッドホン・イヤホン市場が右肩上がりで伸びていることや、グローバルで展開する自社の製品調達リソースを活用できることが、選択の理由だ。

 ラインアップは、高価格モデルとして「TH-EB900」とワイヤレスヘッドホン「TH-WR700」、そして低価格のカナル型「CLEF-Uシリーズ」。「われわれはヘッドホン・イヤホン市場では後発組。ユーザーや販売店に対して、どんなスタンスで新しい市場に取り組んでいるのか、思いを伝えるにはどうしたらいいのかを考え、まず上位モデルから発売することで“本気度”を伝える戦略をとった」と桂・本部長は語る。

 後発メーカーが、すでに確固たる地位を築いている有力メーカーと同じ切り口で製品を出しても、負けは必至。そこで、「小さな点にこだわりを出す」ことで差異化を図った。例えば、CLEF-Uシリーズは、3000円前後という低価格帯では珍しいアルミ素材を採用して高級感を出した。また、パッケージの形状を流線型にして、陳列台のなかでもお客様の目を引くよう工夫している。

 ヘッドホン・イヤホンは、オーディオテクニカとソニーの二強に加え、それ以下の勢力にも存在感がある市場だ。この状況のなかで、イメーションはTDKブランドの認知度の向上に力を入れる。7月には東京・秋葉原駅構内で視聴体験イベントを実施。製品の魅力をユーザーに直接アピールする。2010年度は、国内での販売数量シェア5%の獲得を目指す。(井上真希子)

CLEF-Uシリーズ