マーケティング革命を起こす
リクルートでビッグデータ解析を担当していたとき、日本のAI研究をリードする組織と6年にわたって共同研究を行った。従来のマーケティングは数種類の比較がやっとだったが、「ビッグデータ解析は総当たりで最適解を一瞬で導き出せるだけでなく、個人に最適化されたマーケティング革命が起こせる」と、すっかり魅了された。
不揃いの壁に突き当たる
2018年にフリーのAI活用コンサルタントとして活動をスタートしたが、大きな壁に突き当たる。小売・サービスの顧客を中心にビッグデータ解析の元となる商品マスターのデータが不揃いで、AIを思うように使えない。ある企業では不揃いのデータを整備するのに十数人を投入して人手で整備していた。
そこで、AIによって自動で商品名の表記揺れの修正や、メタ情報を付加するサービス「Lazuli PDP」を考案。同一商品の名寄せからはじま
り、商品説明やレビュー、口コミ、評価点などをネットから探し出して商品マスターに反映する。その商品が具体的にどのようなものなのかを浮き彫りにするものだ。
10年越しの夢に近づく
例えば、食べ物の味に対する消費者の評価は、従来の商品マスターにはないため不十分なマーケティングしかできない。より多くのメタ情報をひも付けることで、ビッグデータ解析の精度を高め、エンドユーザーに最適化したマーケティングを実現する。
「建築と同じで、基礎さえしっかりしていれば、その上に高層ビルや大型ショッピングモールを自由につくれるようになる」。ビッグデータ解析の基礎となるプラットフォームの役割を担うことで、企業のマーケティング活動を支援する。10年越しで夢見てきたビッグデータ解析の利用促進に弾みをつける。
プロフィール
萩原静厳
1979年、東京都生まれ。2005年、東京工業大学大学院情報理工学研究科修了(修士)。同年、リクルート入社。18年、個人事業としてAIコンサルティングを始める。20年7月、リクルート時代からの盟友と合流して、Lazuliを起業。
会社紹介
商品マスターの正規化、ならびに商品の詳細スペックや口コミ、レビューなどの付帯情報のひもづけを自動化するAIサービス「Lazuli PDP(プロダクト・データ・プラットフォーム)」を手掛ける。