これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Scale Cloud・広瀬好伸・代表取締役CEO」を取材しました。
ファジーな会話に違和感
売り上げが未達になりそうなとき、営業は「マーケティング部門がとってくるリードの質が悪い」と言い、マーケ部門は「営業努力が足りない」と思い、顧客サポート部門は「顧客の要望と提案のミスマッチが解約率を押し上げる」とそれぞれ不満を感じる。これでは責任の押し付け合いで成長につながらない。
かつて日本経済が元気だった高度成長期、経済の主役は製造業だった。生産工程をつぶさに管理し、わずかな無駄も潰して生産効率を高めた。しかし「ホワイトカラーの職場は、なぜか数字に基づかないファジーな会話がまかり通ってしまう」ことに違和感を覚えていた。
KPIの共有に着目する
公認会計士・税理士として独立して10年がたとうとしていたとき、ふと「これまでお世話になった企業の方々にもっと恩返しがしたい」と考えるようになった。どうせやるなら、一過性の恩返しではなく「次の世代に伝える“恩送り”の仕組みをつくりたい」。
目指したのは、成長の阻害要因となる“あいまいさ”を排除すること。目に見える数字として、現場の事業部門間で共有できるKPIに着目し、それを管理するツールとして「Scale Cloud」を仕上げた。
日本の経営を強くしたい
KPIを軸に事業部門間の矛盾や無駄をなくし、生産性を高めて最終的に経営目標を達成することに特化したScale Cloudの仕組みは「自分の知る限りほかにない」と自負する。
営業利益率や一株当たり利益などの会計的なKPI、リード獲得件数や受注件数、解約率といった各事業部門のKPIを統合することで、日本の経営は強くなると信じる。多くの企業が再び成長に転じ、たくさんの恩を生み出せるように、しっかりと道を切り開いていく。
プロフィール
広瀬好伸
1979年、兵庫県生まれ。京都大学経済学部卒業。2002年、あずさ監査法人入社。07年、公認会計士・税理士として独立。10年、飲食業に特化したコンサルティング会社ビーワンフードを設立。18年、Scale Cloud(旧ビーワンカレッジ)設立。代表取締役CEOに就任。
会社紹介
事業部門のKPI管理ツール「Scale Cloud(スケールクラウド)」の開発ベンダー。組織間でKPIを共有。同じ目的に向かって協力しあって行動するためのビジネス基盤の役割を担う。