これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「エモーションテック・今西良光CEO」を取材しました。
CXとEXを循環させる
自社が扱うCX(顧客体験)やEX(従業員体験)のマネジメントサービスは、いわば人の「心」を読み解き、課題の改善につなげる行為である。前職では店舗マネジメントに従事していた。顧客にも店員にもそれぞれに心があり、自身が思った通りに動くことはあり得ない。その経験で味わった「人の心を動かすことの難しさ」に挑むことが、起業の原動力になった。
挑戦の先に思い描くのは「三方よしの世界」だ。EXが向上できれば、従業員はより充実して働き、優れたCXを生み出してくれる。そうなれば、その会社のファンが増え、企業成長につながる。「EXとCXはポジティブな循環を作り出し、企業の価値を高めてくれる」。そのサイクルを支援するのが自分たちの使命である。
応用できる領域は広い
現代では顧客に対するたった一つの失敗がSNSで拡散され、ブランド価値を大きく下げる。企業が厳しい競争環境の中で生き残るには、多様なタッチポイントで起こるCXを総合的に管理し、顧客の満足度を高めるため、真に磨きこむべき課題を見極めることが必要になる。
さらに、これからは企業以外にもCXが重要になってくるとみる。今まで培ってきたファンづくりの知見は、病院や学校、自治体の魅力度向上など、まだまだ応用できる領域が広がっている。
万人を「カリスマ」に
リーダーには先天的なタイプと後天的なタイプがあるが「自分は間違いなく後者」。それゆえ、チーム全体が成功する「仕組み」を考えることには、人一倍、重きを置いている。
理想は個人が有する特別な才能を、みんなが広く共有できることだ。例えば、世の中には「カリスマ」と呼ばれるような店員やマネージャーが存在する。そんな人たちの才能を他の人も得られるようになれば、誰もがもっと充実して働けるだろう。その仕組みづくりにおいても、自社のソリューションはきっと役に立つ。そう信じている。
プロフィール
今西良光
新卒で日立製作所に入社しITシステムの営業に従事した後、ユニクロに入社。店舗のマネジメント業務を経験後、早稲田大学大学院に入学し、2013年にwizpra(現エモーションテック)を創業。
会社紹介
CX向上を支援する「EmotionTech CX」、EXやエンゲージメント向上を支援する「EmotionTech EX」、Ⅸ(投資家体験)向上を支援する「EmotionTech IX」を提供。感情に関するフィードバックデータを、特許取得済みの独自技術により解析し、組織課題の可視化と改善実行をサポートする。