これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「booost technologies・青井宏憲代表取締役」を取材しました。
社会貢献・世界同時多発的・成長市場
「社会に価値を生み出したい」。起業家になることを幼少期から意識し、松下幸之助や稲盛和夫の書籍を読み漁った。その中で芽生えたのが「どうせならインパクトのある大きなビジネスをしたい」という思いだ。大学ではビジネスのタネ探しに熱中したが、納得いくテーマには巡り合えなかった。新卒で入社したコンサルティングファームでも新たな事業の可能性を求め、マーケット調査に没頭。半年間のリサーチの末、「これしかない」と確信したのがスマートエネルギーだった。社会を良くするものであり、世界同時多発的であり、成長余地の大きい手堅いマーケットでもある。求めていた条件にぴったり合致した。
業界全体にインパクトを与えるには
同社でスマートエネルギービジネスチームを立ち上げ、リーダーとして実績を残し、2015年に独立。当初はコンサル業務がメインだったが、並行してエネルギーマネジメントプラットフォームの開発に取り組んだ。「コンサルは企業単位でしか貢献できないが、プラットフォームなら業界全体にインパクトを与えることができる」。苦労の末、18年にCO2フリー電気の調達・供給ができるエネルギーマネジメントプラットフォーム「ENERGY X」をローンチ。前職やコンサルの顧客を中心にユーザー数を伸ばした。転機となったのが、20年10月に政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」だ。マーケットがいよいよ大きく動くと予感し、急ピッチでCO2排出量を測定・可視化するプロダクトの開発に乗り出した。
国も本腰で事業に追い風
需要を先取りして21年にリリースした「ENERGY X GREEN」には、狙い通り追い風が吹いた。大企業に環境や社会に対する取り組みなど非財務情報の開示を義務付けることが22年7月に決まり、国内企業が一斉に環境負荷軽減に本腰を入れ始めた。サプライチェーン全体に適用可能という特徴も市場のニーズを捉えた。社会を変革するための手段は用意できたが、達成感はまだない。日本だけで毎年10億トン以上のCO2が排出されている。「そのうち何%の削減に貢献できたか」と常に自分自身に問いかけ、身を引き締める。脱炭素化に一歩を踏み出したばかりの日本と同様、booost technologiesの挑戦もここからが本番だ。
プロフィール
青井宏憲
1987年生まれ。大阪府立大学を卒業後、2010年に国内大手のコンサルティングファームに入社。同社でスマートエネルギービジネスチームのリーダーを経験した後、15年にbooost technologiesを設立。
会社紹介
CO2フリー電気の調達・供給ができるエネルギーマネジメントプラットフォーム「ENERGY X」や、CO2排出量の可視化やレポート化ができるカーボンマネジメントプラットフォーム「ENERGY X GREEN」を開発・販売。サステナビリティのコンサルティングサービスも提供している。