これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「AtCoder・高橋直大社長」を取材しました。
起業は一つの選択肢
競技プログラミングに出会ったのは高校生の頃。ひじを壊して好きだった野球が思うようにできなくなったとき、ひょんなことから東京工業大学主催のプログラミングコンテストに出場した。未経験だったが、初めて書いたプログラムで入賞を果たした。
それから競技プログラミングに熱中する。のめり込みやすい性格に合い、3年後には世界3位に輝いた。参加者が少ない競技プログラミングをもっと広めたいと考えたとき、初めて「起業が一つの選択肢として浮かび上がってきた」。
やりたいことの延長線上で働けるように
起業してから現在まで、定期的にプログラミングコンテストを開催しており、そこでの成績を生かして企業に応募できる就職活動支援サービスも同時に運営している。
競技プログラマーは、素質のある人材として企業から求められることが少なくない。趣味で取り組んでいる人は多いが、コンテストと就職情報の両サービスを連携することで、スキルを仕事につなげたいと考えている人たちに対して「自分がやりたいことの延長線上に就職がある」という状況を提供する。
競合ともタッグを組みたい
最大の目標は「競技プログラミングを拡散して、さまざまなところでさまざまな人に参加してもらう」こと。競技プログラミングの業界全体を盛り上げ、そこを起点に何か面白い取り組みにつなげたい。そのために、日本情報オリンピックのスポンサーを引き受けるなど、事業には直接関わらない支援活動も積極的に実施している。
国内において、競技プログラミングで継続的にビジネスをしているのは、現状では自社しかない。もし今後、競合が出てきたとしても、共に競技プログラミングを広めていくと決めている。
プロフィール
高橋直大
1988年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、大学院に在籍中の2012年にAtCoderを設立。14年に慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程を修了。自身も競技プログラマーとして世界で開催されるコンテストに参加し、トップクラスの成績を収めている。
会社紹介
「日本でも気軽にコンテストに参加できるようにし、競技プログラミングを楽しんでもらいたい」という思いで12年に設立。競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営。毎週開催される定期コンテストには毎回、約1万1000人が参加する。そのほかIT人材採用の支援事業を実施している。