これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「CBE-A・千葉亮CEO&経営アーキテクト」を取材しました。
中小企業のDXを支援
山形県は妻の地元だ。豊かな自然やおいしい食、仕事の合間に趣味を楽しめる環境に心引かれ、2016年に東京から移住した。ロードバイクやスキーなどの地元コミュニティーとつながりができると、県内のITの現状が耳に入った。情報格差が「谷」のような状態になっていると感じた。
企業がいいものを生み出しても、県外に発信する力が弱い。「県外から売り上げを立てて成長するためにも、ITを使いこなしてなんとかしないと」との思いが募った。山形市に本社を構え、中小企業のDXをコンサルティングする会社を立ち上げた。
頑張っている人が評価されるように
24年に提供を開始したソリューションは、スマートフォンをタッチするだけで仕事の状況を可視化し、生産性を高められる。高齢者らITと無縁の人でも簡単に使えるのが特徴だ。ターゲットとする中小企業は少量多品種の業態が多く、業務負担に偏りが出ることも課題だと感じた。「仕事の価値を明確にし、本当に頑張っている人が評価されるようになる」ことを目指す。
導入企業からは、会社全体にゆとりが生まれ、管理職が穏やかになったとの声が寄せられる。「仕事に対する姿勢、仲間を大事にする行動など、一人一人の『振る舞い』が改善される」と効果を感じている。
幸せの総量を増やす
事業を行う上で大切にしていることは、自分が関わる人たちの幸せの総量を増やすこと。「自社のサービスによって、笑顔になる時間を少しでも増やしたい」と願う。現状は県内や隣県の仙台市が主な商圏だが、「ソリューションを通じて、思い描く未来に近づける」と信じて、パートナー経由で全国での販売を目指す。
山形は、住めば住むほど魅力的な場所だ。そんな地域を支える企業の生産性を上げ、県外で稼ぐ文化を定着させていくことが、地方創生につながるとみる。「そんな波を、山形から全国に広げていきたい」
プロフィール
千葉 亮
1980年生まれ、東京都出身。早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程修了。2005年、TISに入社、国内最大手カード会社の基幹システム再構築案件などを手掛ける。IBCS、ソニー生命保険を経て、17年CBE-A(シーベア)を創業。
会社紹介
ITコンサルティングファームとして創業し、山形県の中小企業のDXを推進。2024年から、スマートフォンで仕事の工数を見える化するソリューション「pochi A booster」を提供。NASとセット販売することで中小企業の導入ハードルを下げ、全国展開を目指す。