これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「FormX・時田知典代表取締役」を取材しました。
感じた課題が起業の「種」に
公認会計士の資格を生かしてキャリアを重ねる中で、企業の経理や決算業務と、それを監査する側も経験した。投資家や顧客などが適切な判断を行えるように、企業が自社の経営状況や財務状態、リスクなどの情報を開示する業務は、上場企業にとって必要不可欠であるものの、テクノロジーが活用されておらず、担当者に属人化されていることに大きな課題を感じた。
開示業務は、経理とIR担当者が関わるが、開示項目が増えるたびに双方の担当者が苦労する。その現状を何とかしたいとの思いを事業の「種」として起業し、課題を解決するソリューションを提供している。
SaaSで一気通貫に
上場企業の開示業務を支援する市場は長年2社が独占状態で、紙ベースで行われてきた。属人化の背景を「営業などと異なり、ナレッジがたまる仕組みがない」ことが要因と分析。一方、自社のSaaSは決算書の作成からデータの提出まで一気通貫にでき、監査法人とのコミュニケーションもスムーズに行える。IRの支援として、開示・会計分野に特化したAI翻訳機能も搭載し、海外投資家向けにも適切に情報開示できるようにしている。
上場企業と、IPOを目指す企業の双方をターゲットに、少しずつ導入企業が増えている段階だ。顧客から「こんなプロダクトを待っていたと、お声がけいただく」ことが何よりの励みになっている。
データ活用で価値を生む
貢献できる領域を三つのフェーズで捉えている。まずは、決算作業と必要情報の提出を楽にすることで属人化を排除する。その先に、開示業務で集まったデータにAIを掛け合わせ、BPOのようなかたちで作業を自動化する。最終的には、AIエージェントを活用し「財務数値の要因を分析し、経営判断に生かすところまで持っていきたい」と先を見据える。
企業が成長し時価を伸ばしていくには、投資家に正当に評価されるための開示業務がエンジンになるとみる。「自社の成長の先に日本の成長がある」と信じ、走り続ける。
プロフィール
時田知典
1989年生まれ、東京都出身。簿記法律専門学校を卒業後、公認会計士資格を取得。上場企業の経営管理部門で経理業務を経験。KPMGあずさ監査法人で監査業務に従事。3ミニッツ、ワンメディアを経て、SmartHRで内部監査責任者などを経験。2023年、FormXを創業。
会社紹介
上場企業の開示業務にまつわるタスクをワンストップで行えるクラウド開示ソフトウェア「FormX」を提供。独自システムは金融庁が運営するEDINETや、東京証券取引所が運営するTDnetへの提出にも対応する。資料作成の負担を減らし、決算の正確性を確保することで、資金繰りや財務戦略の立案など担当者が価値創出業務に時間を割けるよう支援している。