これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「アイディオット・井上智喜代表取締役」を取材しました。
フィジカル・ネットに触発
学生ベンチャーとして起業してから5年ほど経った頃、物流最適化の概念であるフィジカル・インターネットに触発されるかたちで、配送ルートやサプライチェーン最適化、デジタルツインの領域へ本格的に進出した。
学生時代に都市環境の最適化の重要性に触れ、起業後は数理モデルやアルゴリズムを駆使したシミュレーション案件、ゲームの受託開発を手掛けてきたことから「フィジカル・インターネット構築に役立てられるのではないか」と考えたのがきっかけだった。
国の実証実験で技術をアピール
物流業界に入り込むために取った手立ては、「国の物流関連プロジェクトの実証実験に果敢に応募し、自社の技術をアピールする」ことだった。
プロジェクトには、大手物流会社のキーパーソンが多数参加しており、「手弁当でデジタルツインや交通・災害情報の共有システム、炭素排出量シミュレーターの実証実験を行った」ことで物流業界との接点を増やし、物流最適化SaaS「ADT」の開発につながった。直近では物流関連の売上高が全体の7割を占めるまでに成長した。
“物流OS”基盤の実現を目指す
物流業界は「最適化の余地が大きい業界である」と感じている。就労人口の減少による人手不足が深刻化する中、共同配送や共同倉庫、コンテナ規格の標準化など非競争領域を中心にシェアリングエコノミーの考え方を取り入れることが急務であり、「資源に乏しい日本にとって物流最適化による省資源化は避けて通れないテーマ」だと説く。
物流会社同士はライバル関係にあることから、共同化に際しては「当社のような独立した第三者がプラットフォームを構築・運営したほうが合理的」とみる。将来的にはADTで培った情報共有の仕組みをベースとした「“物流OS”と呼べるような共同化基盤サービスを実現したい」と語る。
プロフィール
井上智喜
1992年生まれ、神奈川県出身。2015年、首都大学東京(現東京都立大学)都市環境学部卒業。在学中の14年11月、アイディオットを設立。
会社紹介
デジタルツインやシミュレーションの技術を応用した物流最適化SaaS「ADT」を提供する。2026年3月には荷主企業の物流統括管理者(CLO)向け管理基盤サービス「CLOコンパス」を発売した。