これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Eco-Pork・神林 隆創業者兼代表取締役」を取材しました。
子どもに誇れる仕事を
自然豊かな土地で育った幼少期に、環境問題への関心が芽生えた。大学時代に出会った仲間とは「世界に良いインパクトを与えたい」と志を語りあっていた。コンサルティング企業で忙しく働く中、抱いていた思いが再び湧き上がってきた。きっかけは自身が父親になったこと。「人生を懸けて、子どもに誇れる仕事をしたい」と強く願った。
食糧問題の観点から、環境負荷が高いとされる畜産に着目した。特に養豚業は牛や鶏に比べてDXが進んでいない「ブルーオーシャン」でもある。テクノロジーの活用で持続可能な循環型の食肉文化を築きたいと、起業に踏み切った。
勘と経験に頼らないシステム
主要ソリューションとして、現在は「PDS(Pig Data Station)」とデータ分析・生産管理システムの「Porker」を提供している。PDSは豚の体重を測定できるAIカメラで、できるだけ高い価格で買い取ってもらえるよう最適なタイミングで出荷を促すことができる。Porkerは、従来勘や経験に頼っていた生産を、データの蓄積と可視化による管理に切り替えることで、農家の生産性・収益向上を支援する。
AIとロボットを駆使して豚の育成を自動化する「DX豚舎」の実証も重ねる。農家の作業負担を減らすためデータ収集とあわせて、空調などを制御して省人化する施設を目指す。実現は2028年の予定だ。
多様な選択肢を残したい
本来、豚は何でも食べ、糞尿は肥料やエネルギー源として活用できる。科学を駆使すれば、豚の状況に応じてエサや水を調整することで資源を効率的に使った生産は可能なはずだ。
「環境負荷を考えた代替肉や昆虫食もいいが、それに加えて食肉文化という選択肢も次世代に残したい」。多様な選択肢がある未来をつくれば、人類は豊かでいられると信じている。
プロフィール
神林 隆
1977年生まれ、長野県出身。米ミシガン大学で経営学修士課程を修了。外資系コンサルティングファームなどを経て、2017年にEco-Porkを創業。
会社紹介
2017(平成29)年11月29日の「にく いい肉の日」に創立。養豚事業者向けDXソリューションの開発・提供を行う。養豚経営支援システム「Porker」は、約15%の国内シェアを持つ。東京都と鹿児島県などに拠点があり、米国やウクライナにも展開。