その他
ICカード関連の法案審議へ 「個人情報保護」と「行政手続き」軸に
2002/02/11 15:00
週刊BCN 2002年02月11日vol.928掲載
第154回通常国会で審議予定のIT関連政府提出法案は、個人情報保護法案および行政手続きにおける電子情報処理関連法案の2分野に絞られた。IT戦略本部の資料によれば、8つの法案が提出される予定。そのうち、「個人情報の保護に関する法律案」のみ内閣官房が担当官庁で、ほかの7法案は総務省管轄となる。e-Japan重点計画の推進では、この2分野の法制化は必要不可欠との声が、とくに地方自治体からあがっている。しかし、現行法案には反対意見も多い。
大阪府羽曳野市役所の戸谷壽夫・秘書室理事(情報・行革担当)は、電子自治体の推進にはどうしても事業の法的根拠が必要、と訴える。戸谷理事の言う法的根拠の具体例が、個人情報に関わる一連の法案に対する修正要望にある。
経済産業省および総務省の両省は、ICカードを活用した新たな住民サービスの展開に向け、研究・開発活動を行い、一部実験を繰り返しながら、本格的な実現に向けて作業を行っている。
経済産業省では、「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業(2000年度補正予算)」で、公共分野で利用されることを想定したICカードシステムの導入を21の自治体で実験。01年度の(第1次)補正予算で、「IT装備都市研究事業を基礎とした先進的ICカードアプリケーション開発・実証事業」を行い、効果の検証などを行った。
総務省では03年8月にサービス開始予定の「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」を活用したIC搭載「住民基本台帳カード(住基カード)」事業を打ち出している。
両省の試みは、共にICカードを活用した住民サービス事業を想定しているが、問題はICチップに格納される個人情報の保護をどうするか、という点。
戸谷理事は、「プライバシー漏洩が社会問題となっている。しかも厳密な罰則規定がないのが現状」と警告を発する。ICカードが普及した後、個人情報漏洩による事件が発生した場合のフォローは、法律の修正を行うしか手はない、という。
「個人情報の保護」については、「電子政府の推進」に関する3つの法案も個人情報に関わってくる。オンライン手続きの内容を定める「行政手続きにおける電子情報処理組織の使用等に関する法律案」ほか2つの法案が国会で承認されれば、住民は氏名、生年月日、性別、住所、暗号を記録した電子証明書(主にICカードを想定)を役所で購入(1000円程度)し、役所の各種手続きが行えるようになる。
ただし、個人情報保護法案の法制化は微妙な問題をはらんでいる。
2月4日には、個人情報保護検討部会(座長・堀部政男中央大学教授)において、2件の修正案を提出したことが明らかにされたばかり。両修正案に共通するのは、民間事業者を対象にした義務規定(第5章)を適用除外した報道分野(第55条第1項1号)について、努力規定である基本原則の一部も適用除外した点だ。さらに、出版社や報道に従事する者(フリージャーナリストを含む)の適用除外を示す文言も追加している。
また、1月29日には、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)に反対する住民グループ「やぶれ!住民基本台帳ネットワーク市民行動」が、東京都に住基ネットへの不参加を求める要請書を提出するという“事件”も起こっている。「いずれにせよ、個人情報保護法案は可決される」(戸谷理事)というのが大方の見方だが、すべての問題が解決されるのはまだ先のことになりそうだ。
第154回通常国会で審議予定のIT関連政府提出法案は、個人情報保護法案および行政手続きにおける電子情報処理関連法案の2分野に絞られた。IT戦略本部の資料によれば、8つの法案が提出される予定。そのうち、「個人情報の保護に関する法律案」のみ内閣官房が担当官庁で、ほかの7法案は総務省管轄となる。e-Japan重点計画の推進では、この2分野の法制化は必要不可欠との声が、とくに地方自治体からあがっている。しかし、現行法案には反対意見も多い。
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