経済産業省など
「平成13年度電子商取引に関する市場規模・実態調査」
この調査は、電子商取引市場の規模を示すデータとしては定評があるが、公開入札の結果、調査会社が変わっていくのはどうなのだろう。調査対象範囲が変わり、集計方法も異なるため、前回調査との比較がしにくい。前年比60%増、80%増となっているが、はたして増加率の数字が実体を反映したものかどうか、一部には疑問の声もある。調達の公開というのは大きな流れだが、機械的に安いところに落とすだけでは、使いにくいシステムになることを示しているように思える。
2. 2001年の主なBtoB動向 2001年の動向としては、どの品目分野においてもEC取引額が一様に拡大している。個々の事業者や業界の取組姿勢を見ると、既存取引先と取引コストの低減化等を目的として行うBtoBには一定の理解が見られた。ただし、ECを通じて新規販売先との取り引きを開拓しようとするものについては、購入サイドでは品質や納期の確保、販売サイドでは与信・決済等に係るリスク管理が問題となること、販売実績等の企業データを他社と共有することへの躊躇があること等から、取組姿勢にかなりの温度差がある。
これらの結果として、先進的な電子・情報関連機器や自動車業界とそのほかでは、ECに対する取組姿勢に業界格差があり、EC市場規模にもかなりの隔たりがあるという従来の傾向に大きな変化は見られなかった。
また、「売り手、買い手ともに複数の事業者が参加する」eマーケットプレイス型のECについては、規模が拡大してはいるものの、全体の1割強に留まっており、現状では1:N型のウェブ販売サイトやN:1型のプライベートな電子調達システムが引き続き主流となっている。
その中で、2001年の注目分野は、完成製品・生産財・間接財等の物取引では自動車、産業関連機械、紙・事務用品、サービス関連では運輸・旅行サービスがあげられる。
自動車分野では、完成車メーカーによる部品調達が、従来型のEDI からインターネットベースに移行中である。その際、自動車メーカー自体におけるコスト削減や業務効率の向上と、取引先における受注処理の簡便化を図るため、双方が一体となりEC 化を推進している点に特徴がある。
産業関連機械の分野では、電力会社による設備や資機材等の調達が、インターネットベースで展開されつつある。通常はEC化の準備ステップとなる、調達品目の仕様等に関する標準化の確立を待たずして、各社積極的に取り引きのEC化を推進しており、調達コストや事務処理コストの大幅削減により、企業競争力を強化していく方向にある。
紙・事務用品分野では、オフィスで使われる消耗品等の間接財取引で、購買プロセス自体のEC化が進展中である。購買サイドでは、発注窓口の集中化により発注単位をスケールアップし、購買単価の低減を図る方向にあり、販売サイドやシステム提供者は、購買プロセスの電子化を実現する支援ツールの提供により、顧客サイドの事務処理の簡便化を助長している。
運輸・旅行サービスの分野では、大手貨物運送会社によりECベースで提供されている、発注後における在庫管理・梱包作業・配送・決済代行等を含む後方処理の一括サービスが、時宜を得て拡大している。これにより、利用企業ではコア事業への経営資源の集中投入が可能になる。また、航空会社や宿泊斡旋サイトの運営事業者では、企業の出張者等を対象とした航空チケットや宿泊サービスの予約販売が、インターネットの活用により利用者便宜性を多いに向上させ好調に推移している。
3. BtoB市場の将来展望 5年後の2006年には、BtoB市場規模が約125.4兆円に達するものと予想される。また、電子商取引化率も17%を突破する見通しにある。