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韓国オンラインゲーム市場に頭打ち感!? 企業育成が拡大のカギに
2003/06/23 15:00
週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載
現状のままでは市場規模がピークを迎える。ブロードバンドの広がりとともに成長路線をたどってきた韓国オンラインゲーム市場の今後について、韓国ゲーム制作協会の金正律(キム・ジョンリュル)会長はこう分析する。同市場は、多くのゲームが出回っていることで、飽和状態となりつつある。同協会では、韓国ゲーム開発会社へのコンサルティングや資金繰りなどで支援にあたる方針。今後、海外からの企業が多く参入することも見据えて、海外勢に負けない業界へと育成することに積極的に取り組んでいく。(佐相彰彦●取材/文)
ゲーム製作協会が積極支援
■市場はすでに飽和状態
世界でも類をみない成長を遂げてきた韓国のオンラインゲーム市場が、深刻な問題を抱えている。
市場の現状について、韓国ゲーム製作協会の金会長は、「ゲームのコンテンツ数は、開発中を含め約1500種類ある。そのため飽和状態になりつつある」と語る。
韓国では、ゲーム開発会社がオンラインゲームのサービスを開始する流れとして、まず自社のホームページやポータルサイトなどを通じて「ベータテスト版」を無料で提供。利用者が多いものを有料化して提供するのが大半だという。
金会長は、「100種類あるベータ版のうち、1-2種類が消費者に受け入れられる。残りは、市場に出してもオンラインゲームとして成り立たないものになる。ましてや、多くのゲームが存在している現段階では、全く新しいコンセプトをもったゲームでなければサービスを存続していくのが難しい」と指摘する。
しかも、市場では数多くのゲーム開発会社が自社ビジネスを拡大させようと、激しい競争を繰り広げている。「小規模な企業では、ゲーム開発費がかさみ、資金難に陥ってしまう。一方で、大企業はM&A(合併・買収)を行い、オンラインゲームポータルを作るケースが増えている。しかし、M&Aによって良いゲームや良い人材を手に入れたものの、管理ができずに経営難に陥っている会社もあるなど、問題になっている」という。
市場規模については、「年々成長しており、2003年は約2兆ウォン(約2000億円)になる見込み。しかし、現状のままでは今年でピークになる可能性もある」と危惧する。
■コンサルティングで市場活性化
金会長は、「ゲームを1からつくるのは難しく、開発期間で通常2年程度、開発費は数10億ウォンかかる。したがって、将来的には、日本や米国、欧州などから多くの企業が韓国市場に参入する可能性が高い」とみており、こうした海外参入組と競争する場合、開発面や資金面などで韓国企業が生き残れない可能性が出てくるという。
こうした状況を踏まえ、「今後は、当協会がコンサルティング的な役割を担っていき、市場の活性化を図る」と意気込む。
具体的には、開発はしたがオンラインゲームとして市場に出なかったコンテンツに関して、PDA(携帯情報端末)やブラウザフォン、コンソールを含めたモバイル端末に対応したゲームに移行することを提案していく。
「オンラインゲームで需要がなかったコンテンツでも、モバイル端末用のゲームに移行すれば需要が出てくる場合がある。ゲーム開発会社がもつコンテンツを生かすようなコンサルティングが重要だ」(金会長)と、発想の転換を促していく方針。
また、資金のないベンチャー企業とゲーム業界に関心をもつ投資家をつないで、ベンチャー企業の資金難を解消していく構えだ。
ゲーム開発会社の育成は、韓国企業の海外進出を見据えた取り組みでもある。同協会では、今年で4回目となる韓国最大のゲーム総合展「KAMEX2003」を今年11月に開催する予定で、韓国ゲームの最新作を世界にアピールしていく。
現状のままでは市場規模がピークを迎える。ブロードバンドの広がりとともに成長路線をたどってきた韓国オンラインゲーム市場の今後について、韓国ゲーム制作協会の金正律(キム・ジョンリュル)会長はこう分析する。同市場は、多くのゲームが出回っていることで、飽和状態となりつつある。同協会では、韓国ゲーム開発会社へのコンサルティングや資金繰りなどで支援にあたる方針。今後、海外からの企業が多く参入することも見据えて、海外勢に負けない業界へと育成することに積極的に取り組んでいく。(佐相彰彦●取材/文)
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