その他
マイクロソフトの社長人事 ビジネスの転換を示唆
2003/06/23 21:12
週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載
7月1日付で、マイクロソフト日本法人の社長に米マイクロソフト・バイスプレジデントのマイケル・ローディング氏が就任することが発表された。この1年、「社長が交代するのではないか」という噂が絶えなかったマイクロソフト日本法人だが、ついにその噂が現実のものとなったわけだ。(三浦優子●取材/文)
7月1日付で、マイクロソフト日本法人の社長に米マイクロソフト・バイスプレジデントのマイケル・ローディング氏が就任することが発表された。この1年、「社長が交代するのではないか」という噂が絶えなかったマイクロソフト日本法人だが、ついにその噂が現実のものとなったわけだ。これまでローディング氏はあまり表に出てくることがなかった。そのため、その存在を認知している人は少なかったようだが、2001年から日本に常駐しており、マイクロソフト日本法人の経営陣の1人としてホームページにプロフィールが紹介されていた。
昨年2月、本紙がインタビューを行った際には、「日本人は必要以上に自信をなくし過ぎている。マクロ経済的に改善すべき点があることは確かだが、もっと日本の強みに自信をもっていい」とコメント。日本市場への造詣が深いことをうかがわせた。つまり、日本市場を良く知っている米国人新社長なのだ。とはいえ、日本法人が設立されて以来、米国から社長が派遣されることはなかった。日本人社長が経営のカジを取ってきたマイクロソフトが米国人社長を迎えたということは、非常に大きな意味があるだろう。初代社長の古川享氏、2代目社長の成毛眞氏の2人は、マイクロソフトが日本法人をつくる前、アスキーがマイクロソフト製品を取り扱っていた時代からビジネスに携わっていた、日本でのマイクロソフトビジネスの根幹を作ったメンバーである。
3代目社長である阿多親市氏は、マイクロソフト日本法人ができた翌年(87年)入社ではあるが、やはり設立当時のマイクロソフトの理念を理解した人物だ。しかし、ローディング氏の社長就任で、「日本法人の設立時点の理念を理解した社長」というこれまでの流れが断ち切れることになる。実はマイクロソフト日本法人のビジネスは、社長交代とともに転換期を迎えている。古川社長時代は、MS―DOSを日本に根付かせるプラットフォームビジネスを作りあげることが主眼だった。成毛社長時代はウィンドウズビジネスの確立とアプリケーションビジネスを大きく拡大し、日本のアプリケーションメーカーとの競争を激化させていった。阿多社長時代は.NETが登場し、ウィンドウズビジネスが全てではなくなった。
おそらく今回の社長交代も、マイクロソフトのビジネスが転換期を迎えていることを示しているのだろう。しばらく時間をおいて見ると、その答えがはっきりしてくるのではないか。どんなビジネス転換を示すのか現状で推測してみると、パソコンビジネスからの脱却に向けていよいよ本格的に踏み出したように見える。古川氏、成毛氏、阿多氏の3社長は、日本のパソコン産業の黎明期を作り上げた当事者だったが、ローディング新社長はそういう歴史を背負っている人物ではない。マイクロソフトの日本でのビジネス展開として、パソコン黎明期に作り上げた人脈やビジネスモデルはもう必要ではないという意思表示が、今回の社長交代には込められているのではないか。報道の中には、ローディング新社長は短期リリーフ登板だとする見方もあるようだ。それが正解だとすれば、次の社長にはパソコンにとどまらない、コンピュータ産業を牽引する力をもった人物が就任するということになるのだろう。
7月1日付で、マイクロソフト日本法人の社長に米マイクロソフト・バイスプレジデントのマイケル・ローディング氏が就任することが発表された。この1年、「社長が交代するのではないか」という噂が絶えなかったマイクロソフト日本法人だが、ついにその噂が現実のものとなったわけだ。(三浦優子●取材/文)
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