早い段階でIT化に取り組み

　ソウル市の南、車で約1時間半の距離に位置する京畿道軍浦（グンポ）市。同市は、1997年から情報化を積極的に進めてきた。チョイ・キョンシン・情報通信課長は、「市役所内部における98％の業務は電子化を実現している」と胸を張る。

　軍浦市の人口は約27万人。約8万9000世帯数の同市は、「若い世代が比較的多い」（チョイ課長）という。若い市民が多いこともIT化が進んだ要因の1つ。市民の約75％がブロードバンドに加入しており、ほかの市よりも早くIT化に取り組んだことも、電子化に対する市民の支持とIT利用の活発化を後押しした。

　地域情報化の促進については、行政サービスの充実、産業の活性化、教育、市民の生活向上という4項目を柱としている。行政サービスでは、すべての申請書をインターネット上でダウンロードできるようにした。電子申請システムを構築していないため、書類の提出は郵送しなければならないが、電子申請についても、「近い将来に実現する」（チョイ課長）と、準備が着々と進んでいる様子。

　産業の活性化に関しては、中小企業に対して、IT講習会を中心にEC（電子商取引）の実現に向けた支援を行う「創業教育センター」を設置。教育では、学生や主婦、高齢者などを対象としたパソコン教室を開催している。

　ユー・ヒョンギュン・情報通信課地域総合情報チーム長は、「講座は1回あたり10日から1か月までと、期間を比較的短くして気軽に申し込めることが特徴。6か月間など長期的な講座は、じっくりと学ぶことができるメリットがある半面、飽きてしまい途中で講座に参加しなくなる可能性もある」と住民の参加を促すために工夫を凝らす。その結果、「短期的な講座が市民のITリテラシーを向上させることにつながった」と強調する。

　パソコン教室は、韓国のさまざまな地域で開かれている。軍浦市を含む都市部では、講師陣が充実しており、初級者から上級者までレベルに合わせた講座を開けることも、市民のITスキルを高めている要因といえる。

　さらに、市役所内にコピーやFAX、インターネットが利用できる施設や法律相談所などを設置。「IMF（国際通貨基金）経済危機当時は、インターネットで職を探す失業者を支援する施設として機能していた」（ユー・チーム長）と、IT化と住民サービスの充実を並行して進めてきた軍浦市の政策が、産業活性化につながったとアピールしている。