ここ数年の間に多くの企業でデジタル化による業務効率化が進んだが、経営・管理の要である経理の領域では、ミスが許されない業務の性質上、仕事のやり方を変えることへのハードルが高く、現在においても「紙やExcelでの業務が残っている」「入力やチェックに時間がかかる」「経費精算と会計処理が分断されている」などの課題が残っているケースが少なくない。
このため、企業のIT活用を支える全国のSIerやIT製品販売会社には、経理のツールである会計システムの導入・運用を支援するだけにとどまらず、経理業務そのものの改善まで見据えた提案が期待されている。
会計を中心とする基幹業務ソフトを開発・提供するピー・シー・エー(PCA)の経理部門では、自社のサービスとして提供する『PCA Arch 財務経理 エンタープライズ』や、『PCA Hub 経費精算』などの製品を自ら活用し、いわば“0番目のユーザー”として業務の改革を実践している。PCAは、最新の業務ソフトの導入で中堅企業の経理部門が抱える課題をどのように解決しているのか。その事例を通じて、ユーザー企業の経理DX提案につながるポイントを探る。
「ツールの導入」ではなく、業務のあり方とデータ管理の改革がテーマ
『PCA Arch 財務経理』などのクラウド会計ソフトを提供するPCAは、日々製品の機能や使い勝手の改善に取り組んでいるが、製品のみならず、その活用ノウハウもユーザーに届けられるよう、社内での徹底的な活用によって知見を蓄積している。
例えば、勘定科目をより細かく管理するための「補助科目」。決算書に書かれる科目ではないため、企業ごとの業務に応じて自由に設定できる柔軟性があるが、補助科目が増えすぎると運用が複雑になり、かえって業務効率を落とす。PCAでも、以前は取引先への未払金や、従業員への経費精算などに関する個別の要件を補助科目で管理しており、科目が1000個を超える状況になっていたという。
そこで、『PCA Arch 財務経理 エンタープライズ』の機能として搭載されている「取引先マスター」で取引先情報を管理。支払先や支払種別といった情報を整理できるようになり、補助科目は約10個まで削減された。未払金残高も「取引先一覧表」から確認できるため、支払漏れのチェックもスムーズに行えるようになった。
ここで重要なのは機能そのものよりも、現在どのような方法で業務やデータを管理しているのかを把握し、より効率的な運用方法まで提案することが、経理業務の課題解決につながるという点だ。ユーザー企業のIT導入を支援するベンダー側では、「補助科目が増えすぎていないか」「Excelで別管理しているデータはないか」といった丁寧なヒアリングを通じ、現状の業務で運用が過度に複雑化している部分が見つかれば、それが新たな提案機会になると言える。
経費精算を入口に、顧客の「困りごと」を引き出す
PCAでは、バックオフィス業務のペーパーレス化・デジタル化を推進する『PCA Hubシリーズ』を提供している。その一つ『PCA Hub 経費精算』では、経費の申請・承認をデジタル化できる。アップロードされた請求書や領収書などが自動的にOCRで処理されるのも特徴だ。
同社の経理部では、『PCA Hub 経費精算』の導入により、紙中心だった時代と比べ、入力作業自体や、記入の漏れや間違いのチェック作業が大幅に減少したという。さらに、拠点からの書類郵送が不要になったことで、書類紛失のリスクを低減。小口現金の廃止にもつながった。
ITベンダーにとって経費精算は、ユーザー企業との接点をつくりやすいテーマの一つだ。「領収書は紙で回収していますか?」「Excelで経費を集計していませんか?」「拠点から本社へ書類を郵送していますか?」といった問いで顧客の現状を聞き出せば、経費精算だけでなく、会計や周辺業務の課題まで掘り下げることができる。
また、『PCA Hub 経費精算』は今後AIの導入による大幅なアップデートを控えている。これまでのように紙の書類を読み取ってデータ化するのに加え、AIが領収書をもとに、申請者が入力する項目を予測して自動入力する機能が搭載される予定だ。月末に溜まりがちだった申請の手間を最小化することで、従業員が本来の業務に集中できるようにし、会社全体の生産性を高めることができる。
「入力」から「検索・確認」まで、業務プロセス全体を見る
経理業務の中心は日々発生する取引の処理と思われがちだが、実際には必要な情報を探したり、過去の処理を確認したりする作業にも多大な時間が費やされている。
『PCA Hub 経費精算』は、会社名や申請者名、内訳、支払先口座番号などのキーワードからシステム内を横断的に検索できるのが特徴だ。『PCA Arch 財務経理 エンタープライズ』も、仕訳の検索・複写や修正を効率化する機能に加え、残高の異常な増減や税区分違いなどを自動検出する「監査」機能を搭載している。伝票類の修正履歴を確実に残せるようになることで、業務効率に加えて透明性やガバナンスも向上する。
ユーザー企業への提案では、「入力作業を減らす」だけでなく、「探す・確認する・チェックする」といった業務まで含めて、経理プロセス全体をどう改善し、会社の経営そのものに貢献するかという視点が重要だ。経理業務の省力化を実現するのは大前提だが、それによって経理担当者が数字の分析や業務改善、経営層への情報提供など、より付加価値の高い業務に時間を振り向けられるようにしていくことで、企業により高い価値を提供できる。
「経理の困りごと」から「経営の困りごと」へ。
PCAの経理部が実際に同社のクラウドサービスを活用して得た業務改善の効果は、ユーザー企業に経理DXの具体的なイメージを持ってもらうための有効な提案材料になる。経理とその周辺の業務に今も残る「紙・Excel・手作業」といった身近な課題を起点に、経営管理まで視野を広げることで、より価値の高いDX提案につなげることができる。
また、『PCA Arch 財務経理』は、生成AIによる経理業務のさらなる革新が期待できる。「予算・実績を四半期で集計して」といった言葉による指示で、求める情報や洞察を素早くクラウドから引き出すことが可能になれば、経理担当者や経営者にとってより価値の高いソリューションになるだろう。
PCAは、販売パートナーである全国のITベンダー各社を通じて、企業の業務改善とDX推進を支援している。ユーザー企業との新たな会話や提案のきっかけとして活用してもらうべく、PCA自身の実践事例を惜しみなくパートナーと共有していく考えだ。
PCA経理部での実際の導入に基づく『PCA Arch 財務経理 エンタープライズ』『PCA Hub 経費精算』の活用ポイントは、以下二つの記事で詳しく紹介されている。
【特別企画】PCA経理部インタビュー『PCAクラウド 会計 hyper』活用編
https://pca.jp/p-tips/articles/int26070101.html
※『PCA Arch 財務経理 エンタープライズ』には、『PCAクラウド 会計 hyper』の機能および企業向けクラウドストレージサービス『PCA Hub eDOC』などが含まれます。
【特別企画】PCA経理部インタビュー『PCA Hub 経費精算』活用編
https://pca.jp/p-tips/articles/int26070102.html