ITのフル活用で産業を底支えする

今後5年間を見通す前に、今の日本の現状認識を明確にする必要がある。
これまで経済は、好不況を繰り返すサイクルがあると考えられていたが、これは間違いである。たとえばデフレ経済ひとつ挙げても、サイクルではなく、ある種の調整局面に陥っている。むしろ、そう考えないと行く末を見誤る。
調整局面を突き破るには、あらゆる業界、職業の非効率な仕組みを見直し、徹底的に効率化しなければならない。この効率化を実現するのがITである。
IT流通事業者である当社の5年後を考えると、われわれ自身も徹頭徹尾、効率化を推進しなければ存在価値を高められない。われわれの役割は、あくまでも流通であり、5年経っても、10年経っても変わらない。「システム構築をやります」とか、「流通をやめます」とか、口で言うのは簡単だが、流通の役割はそんな軽いものではない。
流通網はこれまで以上に重要になる。メーカー発のサプライチェーンは販売店にとって、必ずしも最適ではない。成功しているデルは、プライベートブランド(PB)商材を扱う巨大な流通事業者である。そもそも、メーカーは流通が本業ではない。われわれ流通事業者が、ITをフル活用したサプライチェーンを構築し、産業を底支えしなければならない。
ITの活用は、これから本番を迎え、なおかつ新しい技術革新が目白押しに続いていく。私はIT産業の将来を、まったく悲観していない。