その他
組み込みソフト開発事業 情報家電追い風に急拡大
2003/12/15 15:00
週刊BCN 2003年12月15日vol.1019掲載
携帯電話や情報家電などのコンシューマ向け製品の組み込み(エンベデッド)ソフト開発事業が伸びている。企業の情報システム向け業務アプリケーションソフト開発をメインとしていたソフト開発会社が、コンシューマ向け製品に組み込む制御用ソフトの開発に活路を見出している。組み込みソフト開発を手がける各社は、地上デジタル放送の開始や情報家電の台頭などを背景に、「今後も需要が大幅に見込める」という見方で一致しており、技術者の育成や組織の拡充、海外市場への進出など、事業拡大に向けた体制を急ピッチで進めている。
伸び悩む受託ソフト事業をカバー
エンベデッドソフトは、電子機器に組み込まれ、各種機能や内部のマイコンなどを制御するソフトの総称。製品の機能・性能を左右する“心臓部”であり、高度な技術力が求められる。
約20年前から組み込みソフト開発事業を手がけるISV(独立系ソフトウェアベンダー)であるコアの崎詰素之・取締役専務執行役員システムウェア事業カンパニー社長は、「ソフトだけでなく、ハードの仕様に合わせたプログラミング能力が必要で、また、リアルタイムの制御技術が求められる。簡単に始められる事業ではない」と、ノウハウの蓄積や実績が必須であることを強調する。
そのエンベデッド分野で、コンシューマ向け製品の需要が伸びている。特に、情報家電、携帯電話、カーナビゲーションシステムの3分野は、ハードメーカー各社が力を入れている分野とあって、専門のソフト開発会社への発注が急激に増えてきている。加えて、「テレビやビデオなどの家電製品も、以前よりコンピュータ制御、多機能化、軽量・小型化しており、組み込みソフトに求める範囲が広がってきた」(崎詰取締役)ことも需要増大に寄与しているようだ。
コアの組み込みソフト開発事業は、今年度(2004年3月期)中間期で前年同期比35.6%増を記録。協力会社を含め約1000人の技術者を擁しているが、「人材不足で案件をこなしきれていない」(崎詰取締役)ほどの好調ぶり。これを受けて、3年後には1500人体制までに組織を拡大させる。また、中国での携帯電話・PHSの普及が急拡大していることから、中国市場向けの組み込みソフト開発の受注も見込めると予測。中国のグループ会社を連結子会社化して人員も増やすなど、連携強化も図る。
組み込みソフト開発を手がけるメーカー系のSE子会社の動きも活発で、グループ会社以外からの受注に力を入れる動きが目立つ。組み込みソフト開発事業が売り上げの約30%を占める東芝情報システムの六反田喬社長は、「東芝以外からの受注割合を高めることがカギ」と、グループにとどまらず広く需要に応えていく考え。
富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)は、富士通グループの受託ソフト開発を中心にビジネスを展開していたが、米山幸彦氏が2000年に社長に就任したのを機に方針転換。「既存の受託ソフト開発の脱却と自社ソリューション強化」(米山社長)を打ち出し、組み込みソフト事業に参入した。今年度(04年3月期)は、売り上げの約15%(50億円)を見込むまでに成長し、05年度には100億円規模に拡大する考え。顧客層も富士通グループのほかに、約20社のメーカーから受注実績がある。
米山社長は、「組み込みソフト開発を手がけている企業はまだ少なく、大手メーカーも内製やグループ会社だけではやっていけない状況。それだけに、“系列外”にも入り込む隙がある」と話す。
顧客からの値引き要請に加え、プロジェクトの長期化などによる不採算案件の発生で、各ソフト開発会社は受託ソフト開発から自社パッケージ、ソリューション開発へとビジネス転換を強いられている。そんななか、コンシューマ機器向け組み込みソフト開発が、業績を飛躍させるための選択肢の1つとして重要になってきた。
携帯電話や情報家電などのコンシューマ向け製品の組み込み(エンベデッド)ソフト開発事業が伸びている。企業の情報システム向け業務アプリケーションソフト開発をメインとしていたソフト開発会社が、コンシューマ向け製品に組み込む制御用ソフトの開発に活路を見出している。組み込みソフト開発を手がける各社は、地上デジタル放送の開始や情報家電の台頭などを背景に、「今後も需要が大幅に見込める」という見方で一致しており、技術者の育成や組織の拡充、海外市場への進出など、事業拡大に向けた体制を急ピッチで進めている。
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