組み込みソフト開発の落ち込みが激しい。独立系SIerで組み込みソフト開発最大手の富士ソフトの上期(09年4~9月期)は、組み込みソフト事業の売上高が前年同期比で3割近くダウン。組み込みソフトを主力とするコアも、やはり同3割近く落ちている。組み込みソフト市場は、携帯電話の普及・拡大とともに急成長してきた分野だ。近年は成長鈍化が見られたものの、リーマン・ショックをきっかけに「ここまで大幅に落ちるとは、まったく予想していなかった」(SIer関係者)という。

 業務系のIT投資は、クラウド・コンピューティングやBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)など、戦略的な分野で徐々に明るさが見え始めている。だが、組み込みソフトについては「先が見えない」(別のSIer関係者)のが実情という。

 背景には、いくつか構造的な問題が横たわる。例えば、携帯電話に象徴される日本の電機業界の世界市場における劣勢。そして、自動車メーカーが開発にしのぎを削るエコカーでは、制御などに使う組み込みソフトはキーテクノロジーで、機密情報扱いで内製化を進めていること。また、主に中国のEMS(製造受託サービス)メーカーの躍進による国内製造の減少――などが挙げられる。

 組み込みソフトを主力とするSIerには、2010年も引き続き逆風が吹くことも懸念されるが、富士ソフトやコアなど実力のあるSIerは、こうした構造的な課題を克服するために着々と手を打っている。

 一つには、世界レベルで“勝ち組”とされる有力電機メーカーとの連携強化。さらに、ソフト開発ベンダーならではの独自のキーテクノロジーの保有。そして、海外EMSメーカーなどをターゲットとしたグローバル進出だ。従来型のドメスティックな組み込みソフトビジネスでは、成長の可能性は低いと言わざるを得ない。このため有力SIerは、果敢に世界市場への進出を進めることで、復活を目指す。